教育旅行フォーラムで優位性強調 「ビーチリゾート」だけでない「学びの場」をアピール【グアム教育旅行フォーラム】
グアム政府観光局(GVB)は、ユナイテッド航空の協力により「グアム教育旅行フォーラム」を開催した。現地で教育プログラムを提供するグアム大学や、日本人向け留学やホームステイを斡旋するベアフット・グアムがプレゼンテーションを行ったほか、実際にグアムで教育旅行を実施した2校が体験談を披露。さらに現地からホテルやオペレーター、ウェディング施設など13団体が参加した。ビーチリゾートとして人気の高いグアムだが、観光局では、学習プログラムやホテル、ウェディング施設での就業体験など、幅広い学びが得られる点や費用面をアピール、「学びの場」としてのグアムの優位性を強調した。

日本担当マーケティング・マネージャーの
レジーナ・リヴァイエ・ネドリック氏
冒頭あいさつした、観光局日本担当マーケティング・マネージャーのレジーナ・リヴァイエ・ネドリック氏は、「少人数のスタディツアーから、100人を超える大規模な団体まで、あらゆるニーズに対応できる態勢を整えている」と述べた。また、2025年度(2024年10月~2025年9月)の日本からのグループ渡航者数が前年比約15%増加、さらにサポートキャンペーンの効果で114団体を追加で受け入れるなど、教育団体を含む団体需要の好調ぶりを示した。なお、コロナ前の2019年度(2019年4月~2020年3月)には、延べ128校、1万1537人の教育団体を受け入れている。
「日本から一番近いアメリカ」
近さや時差、治安、学習素材、費用面を訴求
観光局のプレゼンテーションでは、グアム教育旅行のセールスポイントを訴求。日本各地(東名阪)から毎日直行便が運航している点や、「日本から最も近いアメリカ」として、日本からわずか3時間半、時差1時間と近く、身体的負担が少ない点を強調。空港から主要ホテルが並ぶタモン地区まで車で約10分とアクセスが良く、到着日から時間を有効活用できる点もアピールした。
学習素材は豊富で、自然や歴史(平和学習)、英語をはじめ、現地校との交流、体験学習、ボランティア活動などの事例が多い。受け入れ実績豊富な旅行会社やホテルがあり、ソフト・ハード両面でのインフラも整っている。加えて、治安の良さや
日本語対応クリニックの存在など、安心感の高さにも触れた。
留学先としても、費用面で優位に立つ。1カ月の滞在費は欧米やオセアニアなど主要英語圏と比べ手頃となっている。さらにネイティブのアメリカ英語を学べるうえ、消費税がないため現地滞在費も抑えられる。
グアム大学、ニーズに応じた英語学習を提供
子供向けスポーツキャンプやSDGs活動も
グアム大学(UOG)は、幅広い分野の学部と多様な教育プログラムを通じて、留学生や教育団体の受け入れを積極的に行う。各学部では学士、修士課程や専門資格の取得が可能である。 また、外国人向け英語学習プログラムとしては、1〜6週間や1〜2日の短期にも対応する「EAP(English Adventure Program)」を提供。大学での経営や観光、看護などの授業や実習を組み合わせるなど、ニーズに応じたアレンジにも対応する。さらに、学生ビザが必要な14週間の集中英語プログラム「ELI
(English Language Institute)」も用意する。
夏休み期間には、運動を通じて英語を学ぶ子ども向けサマーキャンプ「Triton Athletic Sport Camp」も実施。アメリカだけでなく、地元チャモロ文化にも触れることができる。さらに自然や現地学生との交流など、グアムならではのユニークな体験も可能だ。
また、持続可能な取り組みとして、UOG CIS(Center for Island Sustainability) & Sea Grantからは、ゴミの再生や植樹活動などSDGsに貢献できる活動を紹介。同センターでは毎年4月に会議を開催しており、今年は太平洋全域から1250名が参加したと述べ、教育団体や関係者に参加を呼びかけた。
![]() カルロス・タイタノ氏 |
![]() 副ディレクターのカイル・マンダパット氏 |
ベアフット、日本人向けにきめ細かなサポート
留学やホームステイなどニーズに応じてカスタマイズ
ベアフット・グアムは、グアムで唯一の日本人向け留学・ホームステイ斡旋会社。フォーラムでは、スーパーバイザーの川端真穂氏が業務内容を紹介。同社では留学やホームステイをはじめ、期間や内容、予算に応じた柔軟なプログラムを提供しており、「国際社会で生き抜くために必要なスキルを身に
つけるきっかけになれば」と述べた。
同社では、短期体験入学やホームステイ、地元学生と過ごす「ブラザー&シスター」、英会話・語学研修、親子留学、プライベート英会話、サマーキャンプなど幅広いプログラムを展開。約50世帯のホストファミリーと契約し、アレルギー対応など日本人向けのきめ細かなサービスに努める。

スーパーバイザーの川端真穂氏
ユナイテッド航空のプレゼンテーションでは、現在東京(成田、羽田)、名古屋(中部)、大阪(関西)からグアムへ直行便を運航するネットワークやスケジュールに加え、拠点であるグアム国際空港での施設見学や体験などが可能な点を紹介した。
また、2023年11月と2025年5月には、グアム政府観光局やグアム大学の協力で大学教員を現地に招き、リゾート地としてだけでなく学びの場としての魅力を体験してもらう企画を実施。2023年11月の「ユナイテッドサミット」では、グアム大学視察とミーティング、CIS SDGsプログラムの視察、格納庫ツアーやパイロットとフライトアテンダントとのセッションを体験した。
2025年5月の「グアム教育旅行プログラム視察旅行」では、これらに加え、ホテルやウェディング施設での研修プログラムも体験。教育旅行先としてグアムで得られる学びや体験への理解を深めた。

ホテルの研修プログラムが充実
留学先としても魅力的
基調講演では、中村学園(国際トラベル・ホテル・ブライダル専門学校)教務室国際ホテル科学科長の大久保昇氏と、多摩大学准教授で国際交流委員会委員、AEP(Academic English Program)コーディネーターの大場智美氏が登壇。両氏は、それぞれ専門学校と大学の立場からグアムでの教育旅行の魅力を語った。
中村学園は、5月11〜14日の4泊5日でグアム研修旅行を実施。レオパレスリゾートグアムでのベッドメイキングや客室清掃実習、ヒルトングアムリゾート&スパやクラウンプラザホテルグアム、ハイアット リージェンシー グアムでの研修やミーティングなど、研修プログラムの充実ぶりを実感。またアールイズ・ウェディングの施設見学では、日本人スタッフの生の声も聞くことができた。
さらに、グアム大学訪問を通じて、英語や費用、安全面での魅力を確認、「グアムが留学先のひとつとして大変魅力的であることを実感した」という。他にも、グアム国際空港でユナイテッド航空の施設見学も行った。
大久保氏は、グアムの温かなホスピタリティと文化に触れ、「事前や現地での学習を通じてグアムの魅力を発信していきたい」と意欲を見せた。同校は12月と翌年にも研修旅行を予定している。

海外で働く日本人との交流が大きな刺激に
「座学では得られない実り多き体験」
多摩大学では、グローバルスタディーズ学部にホスピタリティ・マネジメントコースがあり、卒業生はホテルや旅行会社に就職する。英語による授業もあることから、海外からの留学生も多く、グアム大学との協定を検討、今後交換留学や短期の英語プログラム、研修旅行などの可能性があるという。
大場氏は「気軽に行け、費用も比較的安く、英語を学び実践できる」とグアムの魅力を紹介。研修旅行では、ホテルでの就業体験やウェディング施設訪問、旅行会社とのミーティング、ユナイテッド航空の施設訪問などを行った。
こうした現地でのプログラムを通じて、「座学中心の中で、海外へ行き現地の人と交流し職業体験できることは非常に有意義」と指摘。また、現地で活躍する日本人と直接接する機会もあったことで、「海外で働く日本人を目の当たりにし、暮らしぶりや仕事を直接知ることは若い世代にとって貴重。卒業後のキャリアを考えるう
えで刺激となる」と述べ、その意義を強調した。
最後にグアムでの教育旅行について、大場氏は「座学では得られないものがあり、海外で働く日本人との交流もできる。教育関係者にとって実り多いものとなる」とまとめた。