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【潮流】訪日促進のアウトバウンド戦略

JNTO(日本政府観光局)は2025年度計画で、「訪日促進の取組を進めることにより相互交流の拡大にも貢献する」という文言を初めて盛り込んだ。この方針転換は重要な一歩だが、現状では具体的な施策が不足している。
特に気がかりなのは、アウトバウンドが軽視されている実態である。観光立国の本質とは、来てもらう国であると同時に、外へ出る国であることの両立にある。訪日6000万人時代を迎えるなら、同時に日本人が世界の6000万人に会いに行く時代でもなければならない。
世界の主要国は、アウトバウンドを単なる観光政策ではなく、国際人材育成・外交戦略・観光産業活性化など多角的視点から推進している。その事例から学ぶべき点は多い。
韓国は早くからアウトバウンド市場が活発で国民のパスポート保有率も高い状況にある。韓国観光公社(KTO)は訪日・訪中を含む双方向観光の推進部門を持ち、海外旅行者向けの情報提供や現地トラブル時の支援体制を整備している。また、修学旅行や大学プログラムでの政府補助金制度や、文化体験型プログラムと連動した海外渡航奨励も行っている。