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2018.06.12

WING

JADC、今後20年で新造機需要は3万3530機

成長需要52%に、世界の運航機数は1.78倍で4万機
 
 日本航空機開発協会(JADC)が発表した2018年-2037年までの今後20年間における航空機市場予測によると、新造ジェット旅客機の需要は3万3530機に達する見通しだ。このうち、フリート増強に伴う新たな機体需要、つまり”成長需要”は全体需要の52%に相当する1万7530機に達し、残りの48%に相当する1万6000機が経年劣化した代替需要となる予測だ。20年後に世界で運航される機体数は、現在の2万2337機に比べておよそ1.78倍に膨れ上がる、3万9867機に達する見通し。
 世界経済にはやや減速感が出ててきてはいるものの、新興国経済が台頭することなどによって、可処分所得の多い、いわゆる中間層が拡大。これにより旅行やビジネス渡航などの航空需要(RPK)は年平均4.5%と、高い水準で成長していくことが期待されている。
 そうしたなか航空会社としては、ロードファクターの上昇や機材の多席化・大型化傾向にあるほか、整備作業の効率化による機材の飛行時間延長などの所要機数増加を抑制要素を考慮しても、必要となるASKを賄うためにフリートの増強を引き続き進めていく見通しだ。

 100-229席需要が2万1695機
 120-169席需要が1万3056機と突出

 引き続き、旺盛な機体需要に沸く航空機産業だが、どのクラスの機体需要がもっとも大きいのかーーー。ボーイング、エアバスなどの予測がそうであるように、JADCの予測でも細胴機需要が旺盛となる見通し。
 具体的に機体サイズ別に需要をみていくと、100-229席の細胴機は、2017年末に1万4851機が運航されていたが、2037年には2万6468機となり、運航機シェアは66.4%へと拡大する。2018-2037年の間に1万78機が退役し、新たに2万1695機が納入される予測だ。その納入機シェアは実に64.7%となる見通し。
 このクラスにおける最近の傾向では、燃油費の高騰、空港混雑といった問題から、A319や737-700型機よりも、A320/A321や737-800/-900ER/MAX8のような、やや大型の機体に人気が集まる傾向。座席数も増加傾向にあり、それを象徴するように、例えば欧州エアラインの737-800型機の平均座席数は既に180席に達している様相だ。さらに、昨今では757型機の後継機あるいは高温・高地性能に優れ、かつ200席クラスで大西洋横断能力のある機体を欲しているエアラインもでてきているとのことだ。ボーイング、エアバスとしても、こうした隙間を埋める製品ラインナップを増強するものとみられ、ボーイングでは現在、NMAのローンチを検討中だ。

 

※グラフ=機体サイズ毎の機体需要(提供:JADC)

 

民間航空機に関する市場予測2018-2037PDF(日本航空機開発協会)