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2020.01.14

WING

海自掃海艇「みやじま」に聞く、掃海艇の任務とは

海外装備導入し掃海技術更新図ったその能力とは

 海上自衛隊の歴史において、海自創隊前から活動してきたのが掃海部隊だ。第2次世界大戦において日米両軍が日本近海敷設した機雷に対する航路啓開の必要性から、旧日本海軍の掃海部隊が継続して掃海作業を行なった歴史があるほか、朝鮮戦争時の日本特別掃海隊派遣や、自衛隊初の海外実任務となった湾岸戦争時の掃海部隊派遣などで活躍してきた実績がある。今回、防衛省の記者クラブでは、海自呉基地に所属する第3掃海隊所属の「すがしま」型掃海艇「みやじま」を取材する機会を得た。今回は、掃海艇の任務やその機能に迫る。

 

機雷戦・水陸両用作戦を担任する掃海隊群

 

 海上自衛隊の掃海部隊は大きく分けて自衛艦隊隷下の掃海隊群に所属する部隊と各地方隊に所属する部隊がある。「みやじま」が所属する第3掃海隊は呉基地を母港としており、他には第101掃海隊と第1輸送隊が呉基地にいる。ほかには第1掃海隊が横須賀基地、第2掃海隊が佐世保基地にあり、掃海要員の教育を行う掃海業務支援隊も横須賀に配置されている。各地方隊には41掃海隊から46掃海隊までの掃海隊と水中処分隊が配置されており、北は函館から南は沖縄まで日本各地で活動している。・・・

 

対応しなければならない機雷の方式は膨大

 

※写真=「すがしま」型掃海艇10番艇「みやじま」の艦首。船体は木製で鋼製船体には見られない横縞が見える。アンカーレセスなど金属を使う部分も非磁気性の軽金属となっており、徹底した磁気対策が施されている。

※写真=PAP-104 Mk.5機雷処分具。1991年のペルシャ湾派遣の際に日本の掃海装備の立ち遅れに衝撃を受けて導入された仏製処分具で、すがしま型は2機搭載している

※写真=白いフロートが53式普通掃海具(O型)。このフロートをワイヤーを付け掃海艇の両舷に流し、ワイヤーに付けたカッターで係維機雷のワイヤーを切断し、浮いてきた機雷を処分する

※写真=艇前方には20ミリ機関砲(JM61)が搭載され、浮遊する機雷を射撃処分することができる。なお、操砲は人力となっている

※写真=「みやじま」の艦橋。通常の護衛艦の「舵一杯」が約30度なのに対し、掃海艇では約70度とれるなど、機雷掃海時の定点にとどまる「ホバリング」も容易と話す

※写真=海自の広報施設「てつのくじら館」で展示されている機雷たち。形状だけでなく作動方式も含めると膨大な数の機雷が存在する