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2018.05.22

WING

NEDO、航空機・車など輸送機器軽量化へ材料研究加速

4つの新テーマ、マルチマテリアル設計技術と評価技術で

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、航空機や自動車、さらには鉄道といった輸送機器の軽量化に向けた新材料プロジェクトで、新たに4つの研究テーマを採択した。新たに採択されたテーマは、「マルチマテリアル車体軽量化に関わる革新的設計技術の開発」や「マグネシウム材の性能・寿命に関するマテリアルズ・インテグレーション(MI)活用技術の開発」など。
 NEDOによれば、自動車や鉄道、航空機などの輸送機器によるCO2排出量は国内総排出量の20%を占めているとのこと。その排出量削減に向けて燃費改善効果の高い輸送機器の軽量化が重要課題の一つとなっているという。
 そこで、NEDOは、鋼板、アルミニウム材、チタン材、マグネシウム材、炭素繊維、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などの革新的新材料を開発し、構造体の軽量化を目指すプロジェクトに取り組んでいる。これらの新材料を実用化するためには、設計や接合など、材料の特徴に合わせて適材適所に組み合わせるための異種材料の複合化(マルチマテリアル)設計技術と、信頼性に関する評価技術が一層重要となることから、今年度から新たに4つの研究開発テーマを採択した。
 今回新たに取り組む4つのテーマのうち、「マルチマテリアル車体軽量化に関わる革新的設計技術の開発」においては、複数の材料を組み合わせるマルチマテリアル設計技術の開発を進める。レベルセット法を用いたトポロジー最適化を適用することで、構造部位の抜本的な軽量化を進める方針だ。さらに、マルチマテリアルを実現するために、各材料および異種材料の接合部を対象に含めたシミュレーションの開発を行っていく。同研究は2018年度〜2022年度をかけて、研究開発を進める。
 また、「マグネシウム材の性能・寿命に関するマテリアルズ・インテグレーション(MI)活用技術の開発」においては、マグネシウム材の性能・寿命に関するマテリアルズ・インテグレーション(MI)活用技術の開発を進める。難燃性マグネシウム合金の疲労特性予測計算モジュールの開発と、難燃性マグネシウム合金の疲労特性・寿命などのデータベース構築に取り組む考え。この研究についても、2018年度〜2022年度を研究対象期間として開発を進めていく。
 「超高強度鋼板の腐食挙動解析技術の開発」では、超高強度鋼板の腐食挙動解析技術の開発を進める。超高強度薄鋼板の腐食挙動をミクロ(μm以下)に観察・計測できる微小電気化学計測技術や局所構造解析技術などを開発することを目指す。同研究は18年度から20年度を研究期間として、開発に取り組む。
 そして4つ目の「超高強度薄鋼板の水素脆化挙動評価技術の開発」では、超高強度薄鋼板の水素脆化挙動評価技術の開発に取り組む。超高強度薄鋼板の水素による強度低下の挙動に影響を及ぼす応力、ひずみ、水素濃度分布、ミクロ組織損傷を数百μmレベルで評価・解析し、実用化を考慮した様々な形状、加工形態に対する評価技術の開発に取り組む方針だ。この研究も今年度から20年度までを研究期間として開発を進めていく。

※画像=NEDOは航空機などの輸送機器軽量化に向けて新たな4つの研究開発テーマを採択した。今回はマルチマテリアル設計技術や評価技術などをテーマに選定(提供:NEDO)