西オーストラリアで日本アムウェイが 最上位会員のインセンティブ旅行実施(日本アムウェイ)
全日程同行で見えたオーストラリアの強みとヒント
世界有数のダイレクトセリング企業アムウェイの日本法人である日本アムウェイ合同会社が2024年12月11日から18日まで、西オーストラリア州の州都パース(ボールー)で優秀な会員を称えるインセンティブ・イベント「ジャパン・ダイヤモンド・カウンシル2024パース(JDC)」を開催。日本アムウェイは、アムウェイ・ビジネス・オーナー(ABO)と呼ばれる会員の中で対象期間内に優れた成績を残した会員の活動を称えるイベントを複数開催しているが、JDCはその中でも「ダイヤモンド」と呼ばれるレベル以上の資格を得た会員のみが招かれる特別なイベント。そのJDCに同社協力のもと記者が同行取材し、パースが選ばれた理由や現地プログラムの様子、今後へのヒントを探った。
2017年以来のオーストラリア開催
JDCのオーストラリアでの開催は2017年のメルボルン以来。今回のJDCでは日本全国の約60万組の会員のうち137人が参加し、関係者を含めた延べ宿泊数は約1000泊となり、州にもたらされた経済効果は直接的な消費のみで185万豪ドル規模となった。

パース選定の理由とは?
日本アムウェイが数ある候補の中から渡航先を選定する際に重視する要素はなにか。同社のイリーナ・メンシコヴァ社長は「日本のABOはハイエンドかつハイクオリティなデスティネーションを好む。そしてオーストラリアの人気は常に高い」と語り、自然や文化、スポーツなど多様な魅力を備えるオーストラリアは常に有力な候補だと明言。また、昨今の為替変動の中で欧米諸国と比較して豪ドルが比較的に落ち着いていて割安感があることもプラスになると説明した。
さらに、最も重要になるのがそれぞれのイベントに見合うクラスのホテル客室が十分に確保できることと直行便の存在で、特に日系航空会社による直行便があるかどうかは非常に大きな判断基準になるという。

パース空港。ANA便のデイリー化にも期待がかかる
その点、パースはANAが成田―パース線を週3便で通年運航しているほか、シンガポール航空やキャセイパシフィック航空など東南アジア系航空会社の経由便も充実。日本全国からビジネスクラス以上を利用して参集しやすい環境が整っていることが評価された。
またホテルも、今回のJDCで利用された205室の「ザ・リッツ・カールトン・パース」や6ツ星500室の「クラウン・タワーズ・パース」のほか、229室の「ダブルツリー・バイ・ヒルトン・パース・ウォーター・フロント」、488室の「パン・パシフィック・パース」、計4 8 室のV I P 向けブティックホテル「コモ・ザ・トレジャリー」など、バリエーションに富んだ多くのホテルがこの10年程度の間に次々と誕生または改装を経てリオープン。さらに州内でも新たな開発計画が多数進んでいる。

短い滞在でもオーストラリアを満喫
今回のJDCは12月11日から16日までの4泊6日を基本とし、特に成績の優秀な「エグゼクティブ・ダイヤモンド」以上のABOはさらに2泊を追加。はじめの4泊はリッツ、追加2泊はクラウン・タワーズを利用した。
運営体制では、旅行の手配やホスピタリティデスクなどの業務を日本旅行が受注。日本アムウェイ社員も含めると参加者約4人あたり1人の割合でスタッフを配置しサービスに当たった。
またガラディナーやビジネスセッションなどのほか、スワンバレーやロットネスト島、フリーマントル、マーガレットリバーなどでレセプションやアクティビティを設定し西オーストラリアの魅力を堪能できるようにした。

工夫をこらし感動と愉悦を実現
今回のJDCの主要なファンクションでは、会社の方針などについて説明するビジネスセッションを12日にオプタス・スタジアムで開催。同日夜にはウェルカムレセプションをスワンバレーのワイナリー「サンダルフォード」で実施した。
このレセプションは帰国後のアンケートでも高い評価を獲得。美しい風景の広がる開放的なワイナリーを舞台とした特別感や、屋外での弦楽四重奏やDJ、フィナーレにサプライズで打ち上げた花火などが到着直後のABOに心地良い驚きと高揚感をもたらしたようだ。
また14日にはリッツ・カールトンのボールルームでグランドバンケットを実施。オーストラリアの壮大な自然や大地の力を感じた旅のフィナーレとして「P o w e r o f t h eStars」をテーマとし、夜空にまたたく星をイメージした照明を各テーブルに配置するなど装飾にも力を入れ会場に入った瞬間に参加者からは大きな歓声が上がっていた。
さらに延泊の権利を得た最上位のグループには、これらに加えて最終日に合計12機のヘリコプターと小型飛行機に分乗してオーストラリアが誇るプレミアムワインの産地マーガレットリバーを訪れ、日本でも人気の高いワイナリー「ルーウィン・エステート」でワイナリーの創業家も参加する贅を尽くしたランチョンも用意。美しく飾られたロングテーブルでのエクスクルーシブな体験に多くのABOが目を輝かせていた。
またクラウン・タワーズ内NOBUでのディナーもアンケートで高評価を獲得。和食がABOたちの心を掴んだようで日本から料理人を呼び和朝食を毎日提供したリッツにも称賛のコメントが集まった。

オーストラリアならではの強みだ
好みで選べる5つのアクティビティ
アクティビティは13日をあて、参加者が好みに合わせて選べる5つのアクティビティを企画。「世界一幸せな動物」として大人気のクオッカが暮らすロットネスト島、州内最古のワイン生産地スワンバレー、砂漠に立ち並ぶ奇岩群が絶景のピナクルズ、植民地時代の面影を感じインド洋の紺碧の海も望めるフリーマントルの4方面へのツアーとリッツ・カールトン内でのスパ体験を取り揃え、ロットネスト島ではさらにアドベンチャーボート、島内周遊バス、セグウェイの3つの選択肢を設定した。
予約段階で最も人気だったのは37人が集まったフリーマントルで、ピナクルズとロットネスト島が28名と27名で続き、スワンバレーは17名、ホテルスパは19名だった。
各ツアーの参加者はロットネスト島のクオッカやピナクルズの奇岩群、開園前のカバシャム・ワイルドライフ・パークでのコアラ抱っこ体験、西オーストラリアの雪と呼ばれるランセリン砂丘などパース周辺で外せない西オーストラリアならではの体験を満喫した。
訪問。コアラやカンガルーと触れ合った
ウェルネスのトレンドも追い風に
また今回大きなテーマとなっていたのが「ヘルス&ウェルネス」。これは植物由来の製品開発や、人間の体内で共生する微生物群「マイクロバイオーム」を活用した科学的な健康促進など自社の強みを打ち出すブランディングの一環。 アクティビティでもスワンリバー沿いでのヨガやキングスパークで自然を全身で感じるフォレストセラピー、ビジネスセッション前のスタジアムウォークを組み込むなどし、ABOが実際にヘルス&ウェルネスを体感して帰国後の活動に生かせるように工夫をこらした。
なお、メンシコヴァ社長は「パースや西オーストラリアは手つかずの自然や健康なライフスタイル、持続可能性への取り組みなどがヘルス&ウェルネス企業としてのブランディングに合致していた」と語り、この点もパースを選定した理由のひとつになったと説明している。
ウェルネスはコロナ後の世界の大きなトレンドで今後インセンティブなどビジネスイベントにとっても重要なキーワードとなることが予想される。類まれな大自然を持つオーストラリアは極めて優位なポジションにあると言えるだろう。
アムウェイの製品を体験できる接点をふんだんに用意
同行取材で見えたオーストラリアの強みは?
オーストラリアは、2022年2月に新型コロナウイルスに関する渡航規制を完全に撤廃後、オーストラリア政府観光局は同年10月に「『グッデイ!』ではじめよう、オーストラリア」キャンペンを開始して全世界の旅行者に歓迎のメッセージを発信。現在に至るまで日本からの海外旅行市場で回復を先導し、2024年も出国者数が2019年比65%に留まるなかでオーストラリアへの訪問者数は約40万人で同80%となり2025年の完全回復が現実的な目標となっている。
そしてMICEでも2023年2月に日本アムウェイが1633名ものABOをシドニーに集め大規模イベントを開催するなど回復が先行。この4月にもメルボルンとホバートの両空港で中国アムウェイの大型グループを見ることができた。
ちなみに、メンシコヴァ社長が最重視すると話したホテルと航空路線はオーストラリア全土でますます充実しており、ホテルでは2020年3月以降に268軒25,000室超が新規開業。一例としてブリスベンでは昨夏にIR施設ザ・スター・ブリスベンが誕生して340室がオープンし、最終的には初進出のローズウッドなど計4軒1000室以上のラグジュアリーホテルが揃う計画だ。
航空路線も今年12月想定で羽田、成田、関空からシドニー、ブリスベン、メルボルン、パース、ケアンズへ最大週90便、ここにカンタス航空のシドニー―札幌間季節便が加わり全体で2019年比20%増。日系は日本航空がシドニーとメルボルン、全日空がシドニーとパースに就航し、さらにアジア経由の路線もますます利便性が増している。
観光業者も多数。ワーキングホリデー人気も後押し
更なる満足度向上へのヒントも
インセンティブの目的であるビジネスに対するモチベーションの維持、向上の観点では、日本アムウェイは今回のJDCで満足のいく結果を得られたと評価。メンシコヴァ社長も滞在中のインタビューではあるが「オーストラリアでのインセンティブ実施は当然ながらこれが最後になることはない」と語ったほか、主要都市の一つから積極的なアプローチを受けているとの内部情報も得られている。
アンケートでは、時差や治安といったオーストラリアの強みが実際に評価につながったことがうかがえたほか、「フリーマントルでのスタンプラリーが盛り上がって楽しかった」と工夫が実を結んだことも見て取れた。
またアクティビティについては「能動的体験」や「知的好奇心を満たす体験」を求める意見もあり、オーストラリアが誇るスポーツやアボリジナル文化などのテーマで更に満足度を向上できる可能性も示された。
このほか、参加者の高齢化や若手会員獲得の必要性という日本アムウェイのみならず多くの日本企業が直面する課題に対しても、バリアフリー先進国でありなおかつ子育て世代や3世代での旅行でも高い人気を誇るオーストラリアは最適なデスティネーションと言える。
本冊子で紹介した各州・都市の最新情報や助成金など支援策の情報が活用され、各社のビジネスに繋がることを期待したい。

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