2019.01.09

WING

機上ライダーがピトー管を代替可能に!?

JAXA、ボーイングのエコデモンストレーターで実験

 航空機の重要な装備品の一つであるピトー管。ピトー管は流れの速さを測定する計測機器で、航空機では一般的な対気速度の計測ツールだ。便利な計測機器である一方このピトー管が凍結したことが要因の事故も絶えない。このピトー管に代わる新たな機器が、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究開発で誕生するかもしれない。
 その新たな機器とは、JAXAが研究開発中の機上ドップラーライダー。JAXAは三菱電機らと共同研究にあたっている。JAXAで長らくドップラーライダー研究に携わる井之口浜木(いのくち・はまき)氏はピトー管の凍結に起因した事故の発生が起きている現状を踏まえ、「全く別の原理で速度を測定することができるようになることが必要なのではないか」とし、「ライダーがピトー管と同等以上の速度測定精度を有するならば、乱気流を検知するのみならず、同時に速度を計測することに用いることができる」との見方を示した。昨年には既にボーイングの777エコデモンストレーターを使って飛行実証することに成功しており、その実証結果をみても、ピトー管と同等以上の速度精度を測定することに成功したことを明かした。
 そもそもJAXAは機上ドップラーライダーを、機上搭載型晴天乱気流検知ライダーシステムとして開発を進めてきた。JAXAが開発中のこのシステムは、連続発振レーザー(CWレーザー)光を発射して大気中に漂うエアロゾル(塵)からの散乱光を計測することで所定の距離における風速を計測し、晴天乱気流を検知するというものだ。
 ドップラーライダーの概念自体は決して新しいものではない。すでに50年以上前から研究が重ねられてきたものだ。広く知られているドップラーレーダーとの違いは何かーーー。簡単に言えば、ドップラーレーダーは”ラジオ”、すなわち”電波”を使ったものであることに対して、ドップラーライダーは”ライト”、つまり”光”を使って遠方を測定する。
 ただ、ドップラーレーダーはかなり遠方まで観測することができるものの、雨雲のような強い散乱物資が存在しなければ観測することができないため、晴天時などには観測することができない。そのため、航空機の事故で大きな問題となっている晴天乱気流の事故を防止することができない。
 一方、ドップラーライダーは、微細な塵や水滴などのエアロゾルからの光の反射を利用するため、晴天時にも利用することが可能だが、レーダーほど遠方まで観測することは現在の技術では難しい。
 JAXAが研究開発に取り組んでいるドップラーライダーでは、機体の進行方向前方にパルス状のレーザーを放射。そのレーザーが大気中に浮遊するエアロゾルによって散乱し、その波長変化量に基づいて風速を計測する。非常に小さく軽いエアロゾルは、気流と共に移動しており、エアロゾルによる後方散乱光を機体側で受信、その波長変化量に基づき風速を算出する。その風速計測レンジは、パルスが往復する時間毎に受信光を分割して特定することを考えている。