ウイングトラベル
★マレーシア政観、ニッチ市場開拓強化

来年の観光年に向け、新たな魅力訴求
マレーシア政府観光局のシャリザ・アブドゥル・アジズ東京支局長はこのほど本紙とのインタビューに応じ、教育旅行・研修旅行やゴルフツーリズムなどニッチマーケットの開拓に注力していくとともに、地方からの訪問促進に向けた航空会社との連携やSNSプロモーションに一段と力を入れていき、日本人旅行客のさらなる誘致促進を目指していく方針を明らかにした。マレーシア政府は来年を「マレーシア観光年」と定めて大々的な観光誘致策を展開していくことにしている。それに先駆けて、日本での盛り上げに向けた足場固めを進めて行く方針だ。(インタビューの詳細は週刊ウイングトラベル8月18日号に掲載)
今年1-4月の日本人訪問客数、前年比2割増
コロナ前の77%水準、航空座席数も回復基調
日本からマレーシアの足元の訪問客数の動向についてシャリザ支局長は「今年1~4月の訪問者数は13万18人となった。これは前年同期比で20.5%増、コロナ禍前の19年との比較では約77%の水準となっている。また、航空座席数についてもコロナ禍前に戻りつつある」と述べ、徐々にではあるものの、訪問者数が回復傾向にあると分析した。
また、日本のアウトバウンドマーケットの現状については「為替や物価高の影響により、マーケット全体の回復が遅れていると感じている」と述べた上で「マレーシアは物価に関しては日本に比べて安いほか、ホテルの宿泊料金も手頃となっており、競争力の高い旅行先である」と強調した。
教育旅行やゴルフツーリズムに着目
シニア層の長期滞在需要の取り込みにも照準
そのような状況下に日本からの旅行者誘致に向けてシャリザ支局長は「ニッチマーケットに着目をしていきたい」と話す。海外レジャー旅行全体の回復スピードが緩やかとなっている中で「教育旅行や研修旅行の動きが活発となっているので、さらなる需要開拓に取り組んでいきたい」と意気込みを示した。
加えて注目のマーケットとして、ゴルフ関連の旅行を挙げた。ゴルフに関しては「マレーシア国内には160以上のゴルフ場があるほか、年間を通じて手頃な料金で楽しむことができる。海外でゴルフを行うならマレーシアでという点を訴求していきたい」と述べた。
ゴルフツーリズム関連では、現在日本国内でゴルフを取り扱うオペレーターと連携し、ゴルフコンペを開催するなどプロモーションを強化している。今後もこの取り組みに力を入れていき、ゴルフ目的の旅行客誘致促進を図っていきたい考えだ。
このほか「シニア層の長期滞在ニーズにも注目している」とシャリザ支局長は話す。マレーシアはコロナ禍前から長期滞在に適したデスティネーションとして認知されている市場の1つとなっている。
マレーシアは観光目的での訪問に関しては90日までの滞在が可能となっている。この期間内での滞在を促進するような取り組みにも力を入れていきたいとした。
地方からの訪問促進へ航空会社との連携強化
旅行会社向けセミナーの実施など計画
さらに日本の地方都市からの誘客促進に向けた取り組みにも力を入れていく。その一環として、地方路線を就航している海外エアラインとの連携を強化していく。
日本からマレーシアへはLCCを含め直行便が就航しているものの、東京、大阪いずれかの運航となっている。これに加えて経由便利用でのアクセスも訴求していき「さまざまな航空会社で行くことができるマレーシアという点も訴求していきたい」と話す。
今後は地方都市からの路線を運航している航空会社との連携し、旅行会社向けのセミナーを各地で実施していき、マレーシアへの旅行商品造成を促していく取り組みに力を入れていく方針だ。
2026年は「マレーシア観光年」
新たなマレーシアの魅力を発見、SNSプロモも強化
2026年は「マレーシア観光年」として大々的な取り組みを実施する。観光年の取り組みは当初2020年に実施する予定だったが、コロナ禍により延期となっており、満を持しての実施となる。今回はマレーシアの自然、文化、多様性、そして人々の温かさをイベントやプロモーションを通じて世界中に発信していくこととしている。
シャリザ支局長は「観光年を通じて、日本の消費者に対して新しいマレーシアの魅力を見せていきたい」と意気込む。来年の観光年実施に先駆けて今年は旅行会社と連携した取り組みを計画するほか、SNSを始めとしたオンラインプロモーションについても力を入れていく。
オンラインプロモーションについてシャリザ支局長は「日本独自のウェブサイトを立ち上げており、日本マーケットに即した情報発信を行っているところだ。これに加えてSNSによる発信も積極的に行っていきたい」とした。
さらに観光年に向けてはマレーシア国内の各州も独自の観光素材などの作り込みを行ってるところで、今後発表されていく予定となっており、そのような素材も絡めて日本市場でも積極的にプロモーションを行っていき、マレーシアの観光を一層盛り上げていく考えだ。
※写真=本紙とのインタビューに応じたマレーシア政府観光局のシャリザ・アブドゥル・アジズ東京支局長
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