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2025.06.17

WING

GNSS妨害やなりすまし対策、マルチDMEは日本で適用できるか?

 豊富に設置されたDME、ENRIが成田と仙台で性能評価

 航空機の安全運航には、いまや全球測位衛星システム(GNSS)は欠かすことができないツールの一つだ。RNAV航法などでも利用されているが、一方で最近ではジャミング(妨害)やスプーフィング(なりすまし)が問題となっており、とりわけロシアによるウクライナ侵攻以降、紛争地域周辺を中心に大きな問題となった。
 そうしたなかAPNT(Alternate Positioning, Navigation and Timing)は、GNSS障害発生時の測位、航法、時刻同期を提供するバックアップとして,その構築が国際民間航空機関(ICAO)でも検討課題となっている。APNTは段階的に整備されていくことになるが、バックアップシステムの候補の一つとしては航空用測距装置であるDME (Distance Measuring Equipment) の性能改善により実現する方法も提案されている。
 DMEは従来航法で活用されており、航空機が960MHz~1,215MHzの周波数を使って地上DME局に質問を投げかけ、地上DME局がその応答を決まった時間(50μS)と63 MHz異なる周波数で返すことによって航空機がその応答を受信。電波の到達時間を計測することにより地上DME局までの距離を得るシステムだ。その伝播時間から距離が分かるほか、2局を活用すれば、測位ができるようになっており、現在でも一部のRNAVで使われている。