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2024.04.12

WING

ANAグループ、NTT東らと神津島観光活性化へ

サステナブル観光ループ構築、神津島モデル発信

 ANAグループでバーチャル旅行プラットフォーム「ANA GranWhale」を手掛けるANA NEOと移動でポイント・マイルを貯めることができる「ANA Pocket」を展開するANA Xは4月11日、神津島の観光業活性化に取り組むことを発表した。
 神津島村、NTT東日本、そしてテレビ朝日と協力して、「サステナブル観光ループ・神津島モデル」を提唱し、東京都の離島の一つである神津島の観光業を盛り上げる方針だ。
 ANAグループとしては、非航空事業で展開中の「ANA GranWhale」と「ANA Pocket」という二本柱を活用して、「サステナブル観光ループ」の構築に寄与することを目指す。

 かつて年10万人の観光客、今は半減
 新たな観光資源「星空保護区」が武器に

 神津島は、東京都区内とは約180km離れた離島。島の南に長さ800メートルの短い滑走路があるものの、ANAグループにとっては未就航地だ。本土との間の航空便といえば、調布飛行場を拠点とする新中央航空が1日3~4往復便運航している。その飛行時間はわずか45分ほど。飛び立てば、あっという間に神津島へと到着することができる。
 ただ、本土と島のアクセスの主力は、東海汽船と神新汽船らが運行する船だろう。竹芝桟橋(大型夜行船:約12時間、高速ジェット船:3時間45分)、横浜大さん橋(大型客船:10時間25分)、熱海港(高速ジェット船、約1時間30分)、そして下田港(大型客船:2時間20分)との間を運行している。
 その神津島はダイビング、フィッシング、海水浴などが人気だ。最近ではNPO法人の国際ダークスカイ協会が認定する「星空保護区」に、日本国内で2番目に認定を受け、しかも島全体が認定を受けたことから「ダークスカイ・アイランド」として認められており、村が一丸となってハード・ソフト両面から取り組みを進めた。その結果、世界屈指の美しい星空を眺めることができる聖地として、天文愛好家などを中心に注目度が高まっている。
 昭和40年代、離島ブームが起きた当時、神津島にも大勢の観光客が押し寄せたという。神津島村の前田弘村長によれば、当時は年間10万人もの観光客が来島し、前浜海水浴場などの海水浴場は、白い砂浜がビニールシートで埋め尽くされていたという。
 しかしながら、安価な海外ツアーが設定されるようになると、離島ブームは終焉を迎え、神津島の観光産業も衰退。コロナ禍前の観光客は「年間で約4万5000人~5万人」(前田村長)に、コロナ禍には2万2000~3000人程度にまで落ち込んだ。観光客の減少に伴って島の経済は低迷し、人口減少に拍車がかかっていったという
 こうした構図は大なり小なり、全国各地の離島や地方が同様の問題を抱えていることだろう。同事業に参画するANAグループら民間事業者4社としても、「サステナブル観光ループ・神津島モデル」を構築することにより、他地域の同様の課題の解決へと横展開することも目指していく方針だ。

※この記事の概要
・NTT東日本が事業取りまとめ
 観光振興・地域交通整備など4領域推進
・島内交通が課題、ライドシェア検討やシェアサイクル増強も
 宿泊施設が足りない!宿泊施設整備も大きな課題に
・バーチャル空間に神津島の魅力を再現
 すぐに旅の予約も可能に
・ANA Pocket、現地観光を便利に、魅力発見最大化
 データ活用で交通整備、マーケティングも
・テレビ朝日、星空ツナガルコミュニティ構築
 星空好きや企業・団体繋がる共創型コミュニティ
・島内交通が課題、ライドシェア検討やシェアサイクル増強も
 宿泊施設が足りない!宿泊施設整備も大きな課題に