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2023.02.06

WING

ラングレー第1戦闘航空団のF-22、中国気球の撃墜成功

 撃墜前から機密漏洩対策、過去3度も気球が米領空進入

 米国のロイド・J・オースティン3世国防長官は2月3日(現地時間)、米空軍F-22ラプターが中国の高高度監視気球の撃墜に成功したとの声明を発表した。気球は沖合約6マイル、水深約47フィートの地点に落下した。浅海に落下したことから、その回収は容易とみられ、米側は周辺海域に警備艇を出すなどして、警戒にあたっている。
 米空軍によると、この気球の撃墜に成功したのはバージニア州ラングレー空軍基地第1戦闘航空団所属のF-22。F-22は高度5万8000フィートから気球に向けてAIM-9Xサイドワインダーを1発発射した。その時の気球は高度6万?6万5千フィートの高空を飛行していた。
 また、マサチューセッツ州のバーンズ航空州兵基地からF-15イーグルも飛来してサポート。オレゴン、モンタナ、サウスカロライナ、ノースカロライナなど複数の州からタンカーが発進してF-22による撃墜を支援したほか、カナダ軍も気球の上空飛行の追跡を支援した。
 さらに米海軍も、駆逐艦USS「オスカー・オースティン」、巡洋艦USS「フィリピン・シー」、水陸両用揚陸艦USS「カーター・ホール」を撃墜作戦に投入して、支援に当たった。
 この気球について中国当局は、当初は中国のものではないと否定していたが、その後、中国の民間の気象観測用の気球が不可抗力で軌道を外れたと説明。米国防省高官は「中国側の説明は虚偽。この監視気球は意図的に米国とカナダを横断しており、機密軍事施設を監視しようとしていたと確信している」との見解を示した。
 米高官によると、同様の気球の米領空への侵入は、過去3度に亘って確認されていたとのこと。今回の気球の飛行経路や過去のデータを踏まえ、中国側の説明を「虚偽だ」と断じている様相だ。過去の気球について、撃墜したのかどうかについては言及しなかった。ちなみに、同様の気球は日本でも2019年に鹿児島で、2020年には仙台や福島といった東北地方で確認されている。

※この記事の概要
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