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2022.06.29

WING

21年度航空輸送統計、国際旅客2.2倍も低水準に

 コロナ禍前の8%程度、国内旅客は半数近くまで回復

  国土交通省は2021年度(2021年4月1日~2022年3月31日)の航空輸送統計を発表し、本邦航空運送事業者による国際線の航空輸送旅客数が前年度比120.6%増の176万人だったと発表した。
 国内線の定期航空輸送では旅客数が47.2%増の4969万人となった。前年度に続いて新型コロナウイルス感染症の影響で航空需要が国際・国内とも低調な水準となったが、年度の後半には水際対策の緩和などによって国際線需要が徐々に回復へ向かったほか、緊急事態宣言などの解除による国内線需要の急速な回復が見られ、回復傾向へ向かう可能性が示された。  
 2021年度の国際航空輸送は前年度のほぼゼロベースに比べ、わずかずつながら出入国の制限解除に伴って需要が伸び、旅客が前年度の2.2倍超まで増加した。人キロベースでは129.4%増の117億1204万人キロになり、座席キロが68.4%増の451億5700万座席キロ、利用率が6.9ポイント上昇の25.9%であった。
 大幅な回復となったように見えるも、旅客数を感染症影響の少なかった2019年度と比べると8.2%程度にとどまり、コロナ禍以前には遠く及ばない。回復に向かいつつある中、直近では海外観光客の受け入れを再開させるなど需要増加の動きが高まりつつあり、回復が期待される。
 国内線の定期輸送については、人キロベースでは前年度比47.9%増の466億5812万人キロであり、座席キロが34.4%増の924億7900万座席キロ、利用率が4.6ポイント上昇の50.5%。前年度よりも大幅に伸びたがコロナ禍の影響が少ない2019年度と旅客数を比べると48.8%程度とおよそ半分程度。期間中は緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発出などで需要がそれほど伸びなかったが、解除後には需要が著しく伸びて、国際線よりも早い回復が期待される。
 また国内線のうち幹線を見ると、人ベースが前年度比47%増の2206万人、人キロベースが45.4%増の230億3410万人キロ。ローカル線では人ベースが47.3%増の2764万人、人キロベースが50.4%増の236億3401万人キロとなった。
 貨物輸送に関する2021年度統計では、国際航空輸送の貨物重量は超過手荷物・郵便などを除いて29.8%増の176万3893トン、トンキロベースで35.6%増の104億3404万トンキロだった。この貨物量は過去10年のうちで最大だった2017年度の176万3226トンを超える重量となった。国内定期の貨物重量は12.1%増の47万9889トン、トンキロベースで13.7%増の5億2773万トンキロだった。そのうち幹線では、トンベースが13.6%増の37万7215トン、トンキロベースが14.6%増の4億3347万トンキロに。ローカル線では、トンベースが7%増の10万2674トン、トンキロベースが10%増の9426万トンキロとなった。  
 そのほか、2021年度の燃料消費量は合計で前年度比33.6%増の689万7072キロリットルだった。そのうち国際線では、国内給油が201万4882キロリットルで、国外給油が213万1145キロリットル。国内では定期便では270万2242キロリットルで、その他が2万9219キロリットル(うち航空ガソリン2316キロリットル)となった。
〈国際線方面別実績〉
▼中国=旅客数:12万8370人(52.3%増)/貨物量:33万9999.153トン(8.3%増) ▼韓国=旅客数:1万1600人(604.3%増)/貨物量:2万3764.476トン(22.5%増) ▼その他アジア=旅客数:71万6524人(102.8%増)/貨物量:64万2094.311トン(36.6%増)
▼米大陸=旅客数:64万5238人(170.1%増)/貨物量:55万7996.877トン(36.3%増)
▼ハワイ・グアムなど太平洋=旅客数:5万3218人(456.4%増)/貨物量:1万3768.436トン(739.7%増)
▼ヨーロッパ=旅客数:17万1521人(88.1%増)/貨物量:16万9812.41トン(16.5%増)
▼オセアニア=旅客数:3万5016人(80.2%増)/貨物量:1万6457.771トン(16.5%増)

※表1=国内線旅客の輸送実績上位50路線。括弧内は前年度の順位(提供:国土交通省) 

 

 

 

 

 

 

 

 

※表2=国内線貨物の輸送実績上位30路線(提供:国土交通省)