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2020.06.16

WING

世界初の固体酸化物形燃料電池ドローン開発

上空でも発電可能なシステム開発で長時間飛行

 プロドローン、アツミテック環境技術センター、産業技術総合研究所極限機能材料研究部門の鷲見裕史主任研究員らが、世界ではじめて固体酸化物形燃料電池(SOFC)ドローンを開発し、その飛行実証に成功した。産総研によると、研究開発を通じて市販されているカセットボンベなどの液化石油ガス(LPG)が利用できるSOFCスタックの高出力化と軽量化することに成功。出力あたりの重量を従来より60%低減することを可能にしたことで、上空でも発電できるSOFCシステムを開発したという。これにより、ドローンや二次電池にSOFCで発電した電力を供給することによって飛行・作業時間を長くできるようにした。
 ドローンの社会進出が進んでおり、いよいよドローン活用の本丸である物流配送にも着手しつつある。さらには様々なインフラ点検や災害対応分野など、すでに本格活用が進んでいる分野も散見されるようになるなど、ドローンやロボットが人々の社会生活に進出が拡大していくことになりそうだ。
 ただ、例えばドローン最大の弱点といえば、飛行時間がわずかであるという点だ。多くのドローンに搭載しているリチウムイオンポリマー(LiPo)二次電池は、単位重量あたりのエネルギー密度が小さいため、飛行・作業時間が15〜30分程度に留まっている。さらにはドローンの消費電力は重量に比例するため、多くの二次電池を搭載することはできず、物流分野の荷物やインフラ点検に必要な各種測定機器などの重量物を搭載する作業では、さらに飛行・作業時間が短くなってしまうなどといった大きな課題に直面していた。
 研究チームによると、・・・・・・。

 アツミテックがドローン用SOFCスタック開発
 電極面積あたりの出力は従来の2倍に
 LPGボンベ利用で水素インフラ未整備でも利用可能
 発電・作動温度変化でも劣化しないSOFC技術
 プロドローン、LPG駆動SOFC搭載ドローン開発
 SOFC-LiPo二次電池ハイブリッド電源システムに

※写真=飛行試験中の固体酸化物形燃料電池ドローン(提供:AIST)