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2018.06.20

WING

JAXA、330-240kmから遠方からみた「リュウグウ」

独楽形状の姿がはっきり、200mのクレーターも確認
 
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、去る6月17日と18日に「はやぶさ2」で撮影された小惑星「リュウグウ」の画像を公開した。6月17日15時の時点では、探査機と「リュウグウ」の距離は約330キロメートル、6月18日6時頃には約240キロメートルまで接近した。徐々にその姿をはっきりと捉えることができるようになってきた「リュウグウ」。「はやぶさ2」がこの小惑星に到達するのは、もうまもなくのこと。「リュウグウ」は炭素を含む化合物である有機物を多く含むC型小惑星で、この小惑星を観測することで、人類に新しい驚きと発見をもたらしてくれるに違いない。
 JAXAの渡邉誠一郎プロジェクトサイエンティストが画像を解析したところ、複数の時刻の画像から、リュウグウの自転軸の向きは、小惑星の公転面に対してほぼ垂直に近いことが分かるという。小惑星の自転の回転方向は地球の自転と反対の逆行回転で、自転周期は7時間半ほどとのことだ。
 リュウグウの直径は900メートル程度とみられ、地上観測の予測と整合的とのこと。ただし、正確な直径は探査機とリュウグウの距離が正確には決められていないとして、現時点では不定性があるとしている。
 また全体の形状は、赤道部分がふくらんだコマ(独楽)の形(top shape)で、高速で自転する小型小惑星に多く見られる形とのことだ。米国のOSIRIS-RExミッションの対象小惑星であるBennuや、米国のDART計画の対象小惑星Didymos、地球接近時にレーダー観測された小惑星2008 EV5などに似ているとの見方を示した。
 小惑星の表面には、クレーター状の円形のくぼみ地形がいくつも見られるほか、画像では赤道付近には直径が200メートルを超える大きなクレーター状地形が発見されたとのこと。自転に伴い、左に動くと底部が日陰になって暗くなっていくことが分かる。
 また赤道のふくらみは山脈のように連なるリッジとして一周していて、それ以外にもリッジ状の地形や岩塊らしきふくらみも見られたと分析した。

※画像=「はやぶさ2」から撮影された小惑星「リュウグウ」の姿(提供:JAXA)