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2018.06.05

WING

アカギヘリコプターにH125が就航

 吉野杉の搬出に33年間活躍のラマの後継

 エアバス・ヘリコプターズ・ジャパンはこのほど、アカギヘリコプターで33年間にわたって吉野杉の輸送に当たってきたSA315B(ラマ)ヘリコプターの後継としてエアバス・ヘリコプターズH125ヘリコプター2機が5月28日より就航したと明らかにした。小型の機体に強力なタービンエンジンを装備したラマは高地での飛行性能に優れ、アカギヘリコプターでは奈良県の吉野基地で吉野杉を山から運び出す空輸業務などに合計9機を使用してきた。
 今年夏に退役するラマは現在2機がアカギヘリコプターに在籍しており、そのうちの1機が5月21日に吉野からエアバス・ヘリコプターズ・ジャパンの神戸事業所に飛来し、歓迎を受けた。
 アカギヘリコプターの取締役吉野基地長を務める中島篤志氏は、総飛行時間1万5000時間のうちラマの操縦が7500時間というベテラン。その中島取締役は「ラマは約30年間にわたり吉野杉の輸送という重要な役割を担い続けてきた。安全は私達の最優先事項。この仕事はチームで連携して行う精緻な作業だが、その中でラマは横風にも強い機体。険しい山林地帯での高高度作業においても操縦性能の高さが秀でており、まさに信頼の置ける機体だった」と振り返った。
 一方、アカギヘリコプター吉野基地の芹沢透機長も「今年の夏にラマは退役するが、ミッションと共に様々な飛行を経験した。磁気探査ミッションでは山の稜線に合わせて飛行するという複雑な操縦もラマとともに遂行した。同機の退役はとても感慨深い」と、ラマとの思い出を語った。
 ラマ後継機となるH125は、エキュレイユ・ファミリーの小型単発ヘリ。日本国内で既に89機が運航されている。アカギヘリコプターの中島取締役はH125型機について、高高度作業における高い性能と幅広いミッションでの活躍を期待していると語る。
 エアバス・ヘリコプターズの前身であるシュド・アビアシオン社が最初に開発したタービンヘリの草分けである「ラマ」が、日本で開発者の予想しなかって使い方で長年使われてきたことを示すこの事例はヘリコプターの有用性、多用途性を示す好例と言えるだろう。

※写真=神戸事業所に着陸するラマ(提供:エアバス・ヘリコプターズ・ジャパン)