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GBASの今後の行方は?GAST E標準化は2030年目標

羽田で1月からアジア初のGBAS運用スタート
羽田空港で今年1月23日から、地上型衛星航法補強システム(GBAS)の正式運用がスタートした。同システムは日本電気(NEC)が開発したもので、アジア域でGBASが正式に運用されたのは、羽田空港が初めてとなった。日本は電離圏異常の激しい磁気低緯度地域にあって、こうした磁気低緯度地域ではGBASは運用されておらず、羽田空港は世界でもっとも磁気緯度が低い地域での運用を実現したかたちだ。
羽田空港で運用がスタートするなど、業界関係者から熱視線を集めるGBASだが、そもそもこれは全球航法衛星システム(GNSS)を用いた航空機の精密進入誘導を支援する航法システムだ。GPSといったGNSSコア衛星系、地上装置と機上装置で構成し、カテゴリーIII (CAT-III)進入着陸までをサポートすることができる。
地上から電波により着陸まで誘導する既存の計器着陸装置(ILS)と同様の精度を有し、GPSによる測位の精度や安全性を保障するための補強情報を地上で生成・放送することで、航空機の安全な着陸進入を支援する。さらに、複数の滑走路や双方向での着陸に対応することができ、ILSでは地上に複数の設備が必要であることに対し、GBASでは一式で対応可能だ。つまり、同システムの導入により整備・運用コストの低減につながることも期待されている。