2019.12.23

WING

防衛省20年度予算、5兆3133億円で最高額更新

次期戦闘機開発着手へ、国内FACOからF-35A導入

 防衛省は、2020(令和2)年度予算を発表した。防衛関係費は全体で5兆3133億円となって、6年連続、過去最高額を更新した。SACO関係経費、米軍再編関係の地元負担軽減分、政府専用機導入経費、国土強靱化のための経費を除けば5兆688億円で、こちらとしても過去最高額となった。20年度には、F-2後継の次期戦闘機開発に着手する。開発初年度は、111億円で国際協力を見据えて戦闘機システムの初期的な設計作業を進める。F-35Aの取得については、中止するはずだった国内組立を継続する。組立技術の向上などによって、経費削減が実現したためだ。さらに短距離離陸垂直着陸(STOVL)機のF-35Bは、793億円で6機導入する。併せて同機の発着艦を可能にするため、護衛艦「いずも」の改修は31億円として、今年度末にも1回目の改修を行う計画だ。
 防衛関係費の内訳を見ると、人件・糧食費は前年度比1.9%減、405億円減少の2兆1426億円となった。物件費は3.1%増、964億円増加の3兆1708億円だった。人件・糧食費は、自衛官の定年を延長したため、減少することとなった。定年の延長によって、必要な人材の確保に寄与することに加え、費用の低減にも奏効したことになる。そのほか物件費のうち、SACO関係経費は138億円で、前年度よりも118億円減少となった。米軍再編の地元負担を軽減する費用は1799億円となって120億円減少した。新政府専用機導入経費は前年度62億円に対し、20年度は3000万円。すでに機体を購入したため、大幅に費用が低減した。国土強靱化のための3ヵ年緊急対策経費は前年度と同じ508億円となった。
 新規後年度負担としては、0.2%増、37億円増加の2兆5633億円となった。そのうち20年度長期契約は、F-15の機体構成品包括修理で、これが254億円。19年度長期契約は、PAC-3部品の包括契約で30億円、E-2D取得で1862億円になった。

 

次期戦闘機は関連経費含め約280億円
20年末までにパートナー・枠組み決定へ

 

 20年度予算では、次期戦闘機の開発に着手する。システム全体の初期設計自体は前述のとおり111億円とするが、関連経費を含めると約280億円に上る。これはあくまで“我が国主導”の開発を強調する。戦闘機開発は、1国単独では資金面など厳しい状況にあるため、この開発でも国際協力の方向性を示す。全く新型の戦闘機として、欧米を中心にパートナーを選択する。防衛省では、20年12月までに、パートナー含め基本的な枠組みなどを決定したい考えだ。
 次期戦闘機開発は、戦闘機システムの機能・性能の優先度を検討し、さらには設計上の企画や基準について検討を行う。また、コンピュータシミュレーションなどによって最適な機体形状も検討を行うとしている。
 新たな戦闘機に求める性能・能力については、特に改修の自由度と拡張性だという。経空脅威は相手機器の性能向上、物量など、将来にわたって脅威度が増していくことが見込まれる。そうした脅威に対して、次期戦闘機は常に一線級の能力を確保し、随時必要な改修を行得ることが必要になる。
 統合運用への対応や、ネットワーク化戦闘への対応のため、僚機間はもちろん陸上自衛隊および海上自衛隊装備品との接続も重要な能力の1つ。さらに、高いステルス性および探知性能に優れるセンサーを備える必要があるとし、電波などの各種妨害のある環境下も作戦を継続できる電子戦能力が要求される。そのほか、十分なミサイル搭載量を確保する必要があり、機内への火器類搭載も重要だ。また、米軍との相互運用性(インターオペラビリティ)も重視する。日米による共同作戦を想定する必要がある。
 また開発体制の強化を図るため、防衛装備庁に「装備開発官(次期戦闘機担当・仮称)」を新設する。それによって、開発の効率化を図れるという。戦闘機開発関連の経費では、ミッションシステム・インテグレーション研究を76億円で継続する。さらに、遠隔操作型支援機技術の研究も1億円で継続する。
 防衛省によると、パートナーとなる企業候補では、既存機の派生型の開発という観点からのRFI(情報提供依頼書)を英国と米国の企業に対して出したことを明かした。そのうちロッキードとボーイングの2社は、要求を満たすものがないとして除外。BAEについては、評価の途中で取り下げていたとした。そのため次期戦闘機開発は、既存機の派生型ではないことがほぼ確定したといえそうだ。新たな戦闘機として開発を進めるためのパートナーとしては、前述のロッキード、ボーイング、そしてBAEも十分にあり得るとした。

 

19・20年度取得F-35A、国内FACO生産に変更
20年度取得機は1機あたり約93億7000万円

 

 F-35Aの取得については、今年度および来年度取得方針を変更した。三菱重工業による国内の最終組立・検査(FACO)から取得を継続する。去年12月には、国内FACO取得からより安価だった完成機輸入へ変更したところ。しかし、国内FACOでの経費削減が進み、機体単価が低減したため、国内からの取得を継続することとなった。20年度予算では、3機を281億円で取得する構え。
 機体の単価は当初、国内組立機が114億円(19年度予算時)としていた。それが完成機輸入ではより安価に取得できることが分かったため、国内FACOからの取得を中止することとした。しかし、国内FACOでは作業の習熟や改善が進み、工数が低減した。それによって最終組立・検査の費用が完成機輸入と同程度まで低減。さらに機体の納入に当たって発生する輸送準備や試験飛行などの経費をより安価にすることが可能となった。
 具体的な単価としては、19年度契約での完成機輸入が107億2000万円に対し、国内FACOからの取得では106億8000万円になる。さらに20年度予算案では、完成機輸入の場合94億2000万円となるが、国内取得では93億7000万円になる見込みだ。結局のところ、19年度および20年度取得のF-35A全機が国内調達となる。
 21年度以降の調達については、その都度調査を行って、国内調達か完成機輸入か判断することとしている。しかし、エンジンについては最終組立・検査を国内で行うのは19年度調達分のみ。20年度以降は完成したエンジンを輸入して、国内FACOで組み立てることになる。これは、エンジンの組立を行っている工場が、エンジンの維持・整備を行う体制へ移行する必要があるため。同エンジン工場は2023(令和5)年度以降、維持・整備のための施設となるが、それまでの移行期間にもエンジン組立のスペースを確保することができないため、国内組立のエンジンは19年度取得分で終了することになる。

 

F-35Bは6機793億円で取得、24年以降に納入
「いずも」改修は2段階、「かが」は21年度改修

 

装備品取得はおおむね概算どおり
海自FFM用VLS取得は後日

 

・・・ 防衛装備品の調達については、価格などの精査はあったものの、概ね概算要求の数量が認められた。概算時には具体的な機種は挙げていなかったものの、陸自が新小銃として豊和工業製「HOWA5.56」を、新拳銃に独・ヘッケラー&コッホ製「SFP9」を選定したことを受けて、正式に掲載した。調達数量は、新小銃3283丁、新拳銃323丁で概算時から変更ないが、調達価格は最新の価格を計上した結果、新小銃で概算時の約10億円から約9.3億円に、新拳銃で約3000万円から約2100万円になった。このため、新小銃「HOWA5.56」の単価は単純計算で約28万円に、同じく新拳銃は約6.5万円となった。なお、最初の配備先はまだ決まっていないとのこと。・・・
防衛力整備の効率化・合理化で約4313億円縮減
事業見直しや一括・共同調達進めて予算を削減

 

事務官等は40年ぶりの純増、定員合理化数上回り

 

※図=開発が始まる次期戦闘機イメージ(提供:防衛省)

※写真=19・20年度取得のF-35Aは国内FACOから

※写真=F-35Bは793億円で6機調達する(提供:ロッキード・マーティン)

※写真=「かが」への戦闘機発着艦能力の付与は、21年度末から1回で実施する