2019.04.01

若年男性とポスト団塊が課題

 海外旅行需要が確実に高まっている。日本政府観光局(JNTO)が発表した2月の出国日本人数は前年比10.4%増の153万人で、2012年2月の157万人に次ぐ2月単月として過去2番目の人数を記録した。そして、1-2月累計の出国日本人数は前年比6.1%増の299万人と過去最高を記録した。
 このまま推移すれば、2000万人も見えてくるが、滑り出しだけでなく、今年はゴールデンウィーク10連休もあり、海外旅行にとっては、「神風」ではないが、プラス要因が多いようだ。
 すでに、新年号制定、退位、即位の礼で、皇室関連の地への旅行商品も造成されている。昭和から平成は、昭和天皇の崩御で、自粛ムードに覆われたが、今回は生前退位ということで、祝賀ムードに包まれている。
 それが、「GW10連休」と相まって、国内だけでなく、海外旅行需要もさらに拡大することが予想される。
 各社の旅行動向調査を見ても、GW期間は半数以上の人が旅行を計画しており、とくに10連休を反映してか、4〜7日間などの中期旅行が増加しており、海外旅行需要は一気に増加しそうだ。ただ、ミレニアル世代や若者世代が旅行に意欲的な一方で、アクティブシニア層の旅行意欲が鈍化している。
 法務省が発表した2018年の出入国統計によると、過去最高の1895万人を記録した2018年の出国率は15.3ポイントで、前年比1.2ポイント上昇した。とくに、20〜24歳の女性の出国者数は15.5%増の117万人で、出国率はなんと40.4%と4割を超えた。常に比較される韓国、台湾と比べても引けを取らない出国率を示した。
 日本の若者は海外旅行に出掛けてるではないか、と言いたいところだが、同年齢の20〜24歳の男性の出国者数は女性の半分以下の約56万人、出国率は18.3%に留まっている。つまり、若者のグローバル化の課題は男性にあるのだ。
 去る1月下旬の「若者のアウトバウンド推進実行会議」の初会合で、ダイヤモンド・ビッグ社地球の歩き方事業本部長の奥健氏が2017年の20〜24歳の女性の出国者数は101万人・出国率35.2%、男性の出国者数は51万人・出国率16.7%と2倍の開きがあることを指摘していたが、さらにその差は開いた。男性の出国率は1.6ポイント増えているのだが、女性は1年間で5.2ポイントも上昇している。
 日本旅行業協会(JATA)と観光庁が進める「ハタチの一歩−20歳初めての海外体験プロジェクト」の広告・ポスターの表紙は女性だが、実は海外に行っていないのは男性であり、極論すれば、20歳の海外体験プロジェクトで派遣する若者は、全員男性でもおかしくないのだ。
 男性の若者世代とともに、気になるのがシニア層で、65〜69歳の出国者数が1.9%減と2年連続で減少した。団塊世代が70歳を超え、ポスト団塊世代が65歳を迎えて人口減少が続き、これがシニア層マーケットに影響を与えている。
 シニア世代は、65〜69歳の男性出国者数が3.5%減の約59万人だが、出国率は0.8ポイント増の13.1%に上昇している。絶対的な人数は少ないが、海外旅行意欲の高いポスト団塊世代の海外旅行をさらに促進する手立てを講じる必要がある。
 団塊世代がシルバーに入り、この層の海外旅行は段階的に減少していく。それをカバーするには、ポスト団塊世代、その下のバブル世代の海外旅行意欲をさらに高めなくてはならない。海外旅行に追い風が吹いているこの時に、若者と同様に、ポスト団塊世代を議論すべきではないか。(石原)