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2022.07.19

カナダ観光局、新たな切り口で体験を訴求「カナダ・レジェンダリー・エクスペリエンス」

 

 

カナダだけの「想像を超えた忘れられない体験」
「自分自身を見つめ直す」きっかけにも

 

 カナダ観光局主催のトレードショー「ランデブーカナダ(RVC+2022)」がオンタリオ州トロントでスタート、開催に合わせ国際担当副社長のモリーン・ライリー氏と日本代表の半藤将代氏がインタビューに答え、アフターコロナ、ポストコロナを見据えた施策として、日本マーケット向けに新たな切り口による体験「カナダ・レジェンダリー・エクスペリエンス」を訴求していく方針を示した。

カナダ観光局国際担当副社長モリーン・ライリー氏(左)
日本代表半藤将代氏(右)

 

 ライリー氏は「雄大な自然や文化など、カナダならではの体験は、想像を超えた忘れられない特別な体験となるはず。そしてその体験は自分の枠組みを超え、自分自身を見つめ直すきっかけとなるはずだ」と指摘。単なるラグジュアリーとは違う、「心から満たされる贅沢」な体験をカナダの強みにしていく考えだ。
 日本市場について、ライリー氏は「リスクを取らず慎重なマーケット。受け入れ側としては安全面や健康面に考慮し、旅行者が安心できる態勢づくりに努めたい」とコメント。また観光局として、コロナ前の2019年レベルの観光収入に戻るのは2025年ごろと予測、「長い期間でマーケットを見ていきたい」とした。

 

 

観光の力で地域を再生する「リジェネラティブ・ツーリズム」
「カナダ・レジェンダリー・エクスペリエンス」を通じて実践

 

 ランデブーカナダでは、長期的な目標として「リジェネラティブ・ツーリズム(再生型観光)」が打ち出された。環境面、文化・社会面、経済面のサステナビリティを重視し、観光の力でその土地をより良い状態にして将来世代に引き継ごうという取り組みだ。
 その地域の人々が一番大切に受け継ぎたいもの、カナダならではの本物の体験をしてもらうことで、結果としてリジェネラティブ・ツーリズムを実現していく。「カナダにはスケールの大きさや、時間や感動の豊かさがあり、体験の訴求が大事となる」とライリー氏。
 「カナダ・レジェンダリー・エクスペリエンス」は、こうしたリジェネラティブ・ツーリズムを実践できるカナダでの体験と言える。
 例えば、食事の体験でも「バンクーバー島(ブリティッシュ・コロンビア州)で地元の人と一緒にサーモンを釣って、スモークサーモンを作ったり、東側のノバスコシア州の世界で最も干満の差が大きい海岸で食事を楽しんだり、5つ星ではないがここでしかない体験がカナダで待っている」と語った。
 他にもノースウエスト準州で犬そりを楽しみながらオーロラ観賞したり、ブリティッシュ・コロンビア州でサーモンと一緒に泳いだり、カナディアン・ロッキーのコロンビア大氷原(アルバータ州)をハイキングしたり、また自然に限らず、先住民族の文化体験、都市での体験なども提案していく。
 「カナダ・レジェンダリー・エクスペリエンス」は、日本マーケットに限らず、観光局がターゲットとするすべてのマーケットが対象。ライリー氏は「それぞれの市場特性に合わせた体験を訴求したい。同じ内容でも体験の仕方が異なる」と説明。例えば、欧米では本格的なアドベンチャーを好む一方、日本ではちょっとした体験、ソフトな内容が好まれるなど、市場ごとに提案する内容をアレンジする。

 

 

JTBなど、旅行会社との協業で商品化
旅行会社各社で体験重視の商品造成に舵

 

 「カナダ・レジェンダリー・エクスペリエンス」については、実際に体験を組み込んだ旅行商品化を旅行会社との協業で進める。先日発表したJTBとのパートナーシップ締結もその一環。JTBに限らず、旅行会社各社でこうした体験素材の商品化を目指す動きがある。
 ランデブーカナダを前に、カナダ観光局は、カナダ国内向けのサプライヤー向けに海外各マーケットの現状をまとめた ポッドキャストを公開。その中で日本マーケットにおいては、エイチ・アイ・エス執行役員飯田憲史氏と、アルパインツアー代表取締役社長芹澤健一氏が登場し、今後の商品造成やカナダ旅行業界への期待を語った。
 飯田氏は、ウィズコロナ、アフターコロナにおいて「いかに安心/安全の態勢が提供できるかが重要だ」と強調。今後の商品造成においては、「従来型の周遊ツアーへのニーズはなくなることはない」としながらも、滞在型の旅行、「家族や友人とカナダの自然や文化を体験したり、現地のカナダ人と一緒にカナダの文化や伝統を学んだり、高付加価値で自己変革を求めるニーズは高まるだろう」とコメント、新たな商品造成として「カナダでしかできない体験は何か、やってみたいことは何か、という視点で進めていく」とした。
 一方、芹澤氏は「コロナ禍の2年間は、国内ツアーの企画・運営に注力していたが、その中で得た経験は、家族や友人と山や大自然の中で一緒に過ごすステイケーションや6~10人の小グループのニーズが高まったこと」と指摘。なかでもステイケーションは「カナダのイメージに合致している」と答えた。またカナダの優位性について、高い安全性や手つかずの自然、新鮮な食べ物を挙げ、そうした面での日本の旅行者のカナダへの期待も高いと強調した。
 今回のランデブーカナダには、ユーラシア旅行社やグローバル ユース ビューローといった旅行会社が参加、カナダの旅行商品に注力する姿勢を見せるなど、新たな動きを見せている。

3年ぶりのリアル開催となった「ランデブーカナダ(RVC+2022)」
会場の様子。日本からの参加者も多く集まった

 

 

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