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2025.10.06

WING

第234回「日本が危ない」中朝露と対峙する準備できてるか

核と通常兵力の同時開発へ
目指す第2次装甲武力革命

 

 北朝鮮というと1990年代から弾道ミサイル、核開発に世界の注目が集まったが、最近はそれだけでなく、通常兵力の強化にも力を入れている。朝鮮労働党総書記、金正恩は9月中旬、国防科学院を視察した際、来年1月にも開催される第9回党大会では、核戦力と通常兵力の開発を同時に進める「並進政策」を提示することになると表明した。
 9月11、12の両日、金正恩は国防科学院傘下の装甲防御武器研究所と電子武器研究所を訪れた。そこで戦車に対する正面、側面、上からからの模擬攻撃に対して迎撃する「新型能動防御体系」の実験を視察した。公開された写真には、模擬標的が爆破された場面と、金正恩が双眼鏡を使ってその模様を眺めている様子が映っている。爆破したとする戦車の姿は公開されていない。
 北朝鮮側の発表では、戦車に向かって飛翔してくる対戦車ミサイルをレーダーで探知し、散弾などの迎撃弾を発射して空中で撃破する「アクティブ防護システム」の構築に向けて、「探知体系」と「回転式迎撃弾発射機」の反応が極めてよかったとし、北朝鮮はこの「能動防護体系がこの上なく優れていることが実践的に検証された」と、実験の成果を強調した。
 金正恩は気分をよくしたのか、核兵力と通常兵力を並行して同時に開発するという党大会での新方針を事前に明らかにし、国防科学院が通常兵力を現代化するための事業を進めていくことへの「信頼」を示した。
 朝鮮中央通信は5月、金正恩が「重要戦車工場」を視察し、生産状況や防護体系構築の進展状況を見て回っている様子も伝えていた。ここで金正恩は戦車、自走砲の生産能力を強化し、戦車をはじめとする装甲武器体系を早い時期に更新し、「第2次装甲武力革命」を起こすと明言した。

 

ウクライナ派兵で方針転換
新型駆逐艦はロシア製装備

 

 金正恩は5月15日には朝鮮人民軍近衛第1空軍師団管下の飛行連帯を訪れ、空対空ミサイルによる無人機撃墜の訓練の模様を視察した。韓国紙、東亜日報はロシアの空対空ミサイル技術が北朝鮮に移転された可能性がある、との韓国軍関係者の見方を伝えた。

 

ミサイルの開発と同時に通常兵器の開発にも力を入れる北朝鮮(提供:防衛省)

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