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実質赤字の国内線、国内航空の今後のあり方は?

中堅航空会社からヒアリング、「存亡の危機」とも
儲からない国内線事業―――。すっかりその構図が定着しつつある。コロナ禍からの回復が進んだものの、世界的なインフレ、円安によって、コストはうなぎのぼり。強烈な逆風にさらされている一方、コロナ禍を経た行動変容もあってビジネス需要が思うように回復して来ていないことのほか、レジャーでも財布の紐が固くなり、航空会社は客単価を思うように上げることができず苦しんでいる。そこで大手はタイムセールなど、極端なセールを実施して席を埋めている様相だ。
国内線で思うように稼ぐことができず、訪日旅客需要が好調な国際線事業などでカバー、あるいは成長するという本邦エアラインの構図が、すっかり出来上がってしまった。多数の国際線ネットワークを有する大手キャリアは国内線の穴を埋めることができようが、国際線を持たない中堅航空会社は厳しい。売上高で過去最高を更新する会社が続出した一方で、コストの急上昇によって利益は急落。政府の補助金がなければ、実質赤字という状況さえ生まれている。
そうしたなか10月1日、国土交通省航空局は「国内航空のあり方に関する有識者会議」の2回目の会合を開催した。今回の会合ではスカイマーク、AIRDO、ソラシドエア、そしてスターフライヤーら中堅航空会社からヒアリング。さらに、航空連合からもヒアリングした。このなかで中堅航空会社からは、悲鳴にも似た声が挙がった。とくにスカイマークの本橋学社長は「今、日本の国内ネットワーク、とくに中堅航空会社が提供してきた路線網や多様な選択肢が、静かに、確実に存亡の危機に瀕していることを皆様にお伝えしたいと」と述べるなど、国内航空のあり方に強く警鐘を鳴らした。
※画像=急激なコスト高という逆風で苦境の国内航空。中堅キャリアからは現状に悲鳴が上がる