ウイングトラベル
★JAL株主総会、飲酒など安全関連「全社で信頼回復」

ウェブ・アプリ刷新へ着手、さらに使いやすさ追求
日本航空(JAL)は6月24日、都内で第76期株主総会を開いた。進行を務めた鳥取三津子社長は冒頭、前年度から飲酒事案を含め安全に関わる行政指導を2度も受けたことに触れ、全社を挙げて「信頼回復に向けしっかりと取り組んでいく」と述べて陳謝した。また事前に募集した質問ではウェブサイトやアプリのエラーが多いなど多く指摘を受けたとして、今年度末から順次刷新を進めて、課題解決と同時に使いやすくリニューアルする計画を明かした。
会場に738人の株主が訪れた今回の総会では、JALが提案した配当、定款の一部変更、取締役選任、監査役選任の4議案が可決された。一方、香港の株主であるリム・アドバイザーズ・リミテッドから、上場子会社または上場関連会社への天下り禁止、株式の共同保有を開示する定款の一部変更といった第5・6号議案が示されたが、反対するJAL側へ賛同が集まり否決となった。会議にかかった時間は約2時間12分で、12人の株主から質問を受けた。
飲酒問題、経営が防止の有効性把握できず
事前に受け付けた質問の中で、特に関心の高い課題の1つとなった安全・安心への対応について、中でも飲酒問題は18・19年度に行政処分を受けて対策を講じてきたが、昨年に再発してしまった。回答した中川由起夫常務は、経営が有効性や防止策の定着度合いを把握できていなかったと振り返り、社員が自発的に動ける教育を改めて行っていると説明した。
JALグループでは現在、飲酒問題に関する5項目の対策を策定したとしており、1つ目が役員・部長・課長・一般社員の各立場で安全に対する責任を自ら考えるよう教育していること。2つ目が健康や勤務状況の情報から飲酒の懸念がある社員へ的確に指導すること。3つ目が検査で不合格となった時に情報共有を迅速に図って確実に対応することと、自動化へシステム改修すること。4つ目が役員を対象にどこに落とし穴があるかなど考え学ぶ教育を開始すること。5つ目が運航本部の体制を見直し、グループ内のコミュニケーションを活性化させていくこと。
こうした対策を計画通りに進めているとし、引き続き社長を議長とする安全対策会議で進捗を確認する考え。さらに社外取締役を委員長とする検証委員会では対策の有効性を客観的にフォローアップして、確実な再発防止につなげていくとした。
※写真=JALの株主総会では整理解雇問題に絡む質問が多かった