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★成田施設の機能強化、NAA中心に旅客・貨物整備

鉄道アクセス検討深め具体化、最終取りまとめへ
国土交通省航空局は6月5日、今後の成田空港施設の機能強化に関する検討会の中間取りまとめを行った。旅客・貨物取扱施設など空港本体施設の整備は、成田国際空港会社(NAA)が中心となって具体的な計画を策定し、需要に応じた整備を段階的に行う。鉄道アクセスの整備は、国交省やNAA、関係する事業者・自治体が具体的な対応を検討していく。今後さらに検討を深めた上で、最終取りまとめを打ち出していく。
この検討会では、NAAが有識者とともにまとめた「新しい成田空港」構想をもとに、航空事業者や鉄道事業者を含むステークホルダーを交えて、旅客・貨物施設や鉄道アクセスの整備の方向性を議論してきた。この度、整備の基本的な方向性として中間取りまとめを示した。
特に鉄道については、費用負担の面などで事業者単独で決められないため、例えば単線区間の複線化など、アクセス強化の進め方などを事業者や自治体とさらに検討し、“誰が何をする”というような具体的な取組みを最終とりまとめに盛り込みたい考え。滑走路増設など「更なる機能強化」の工期が28年度末で、空港施設の整備も早く取り掛かる必要があるため、遅くならないうちに検討会を再開して最終取りまとめを示す構えだ。
中間取りまとめで示した機能強化の方向性は、NAAの「新しい成田空港」構想に沿った内容。旅客・貨物施設では、発着容量が年間50万回へ大幅に増加するため、十分な容量を備えた旅客および貨物の施設整備が必要だとした。国際ハブとして、旅客の乗継や貨物の継越といった需要を取り込むため、乗継・継越利便性を高めることが必要となる。旅客施設は機能が集約したワンターミナル方式に優位性があり、館内の移動を円滑にするモビリティの導入が望まれる。貨物施設では、貨物上屋やフォワーダーの施設を集約して、空港隣接地と一体的な運用が可能な新貨物地区の整備が望まれるとした。
空港の鉄道アクセス整備は、輸送力や速達性を向上させていく。新幹線・リニアの駅や羽田空港など地方送客拠点までのアクセスや、多くの到着旅客が最初の訪問地とする都心へのアクセスについては強化の必要があるため、列車の増発や、他社線区を含む既存路線の相互乗入など、速達利便を向上させる策について検討を進める。輸送力増強のための列車増発、長編成化、さらには鉄道施設の改良などを検討する。
それとともに、単線区間が制約となっている場合には、その区間を複線化することも検討していく。空港駅は空港の国際競争力を確保するため、輸送力と利便性を向上させる必要があり、旅客ターミナルへ直結して設置することが望ましいとし、整備方法の検討を進めるとした。
※図=検討会では必要に応じて事業者などと検討を進め、なるべく早期に最終取りまとめを示す(提供:NAA)