ウイングトラベル
★漫画の地震予言でアジア訪日客に控え傾向拡大

野村総研木内氏、5600億円規模の経済損失試算
野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは5月29日、科学的根拠のない地震予言を受けてアジア諸国で訪日を控える動きが広がっていることを指摘し、インバウンド需要を約5600億円程度減少させる可能性があるとの試算を発表した。
1999年に出版された漫画「私が見た未来」(たつき諒氏作)が2011年3月の東日本大震災を予言していたとされ、最新版では2025年7月5日に日本および太平洋周辺諸国が地震・津波に見舞われると予言されているという。この予言には科学的根拠は全くないものの、アジア諸国では大規模自然災害の発生を警戒して夏場の訪日を控える動きが広がっている。
訪日を控える動きは香港で最も顕著に現れている。香港では著名な現地の風水師が4月以降、日本を訪れることを控えるよう呼び掛けを始めた。風水師からは「日本・韓国の地震リスクが6月から8月に高まる」「9月に日本で自然災害のリスクが大きい」などの発言が聞かれている。
日本への旅行需要の急減を受けて、香港のグレーターベイ航空は5月13日から10月25日の期間中、香港と仙台の路線で週4往復から週3往復に、香港と徳島の路線で週3往復から週2往復にそれぞれ減便することを決定した。福岡と中部、新千歳を結ぶ定期便も減便を予定している。
旅行データ会社フォワードキーズのデータを基にしたブルームバーグ社の分析によると、4月以降、香港や台湾、韓国からの日本行き航空券の予約数が減少し、特に香港からの予約は前年同時期比で平均50%減となっている。7月5日を含む6月下旬から7月上旬にかけての週の予約では、同83%減と大幅な落ち込みを示している。
※表=アジア訪日客数減少のシミュレーション(出典:野村総研NRIコーポレートサイト)