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航空機エンジン排気からオニオン状粒子発見

煤だけじゃなかった!新たに3種のナノ粒子検出
国立環境研究所とスイスのチューリッヒ応用大学、そして東京都立大学などの研究チームが、航空機エンジンの排出粒子から、内部構造がタマネギのような層状(オニオン状粒子)の粒子を検出したことを明らかにした。航空機エンジン排気は従来、煤状粒子が存在していることは良く知られてきたが、オニオン状粒子のほか、結晶構造を持っていない非晶質粒子であるアモルファス粒子、さらにはトレースアモルファス粒子も確認した。
ちなみに、これまでにオニオン状粒子が大気中や燃焼排気中から検出されたという報告は、これまでに無かったことのほか、航空機排気中にオニオン状粒子、アモルファス粒子、トレースアモルファス粒子が含まれていることも初めて明らかにした。
研究チームは、エンジン排気を測定し、その排気に含まれている粒子形状や内部構造などを高分解能透過型電子顕微鏡で調査した。その結果、前述したように新たな形状の粒子や構造をもたない粒子を確認することに成功。さらに、航空機排出粒子の粒径は10~20 nm程度と極めて小さく、球状の単一粒子の割合が多いことも分かった。
研究チームはあらたに検出したオニオン状粒子について、「物理化学的な特徴の詳細は分かっていない」としたが、「他の粒子とは大気中や体内での動態が異なる可能性がある」ことを指摘。「気候影響や健康影響の観点から、さらなる研究が求められる」との見方を示した。
「オニオン状粒子が煤粒子に近い性質なのか、揮発性有機物粒子に近い性質なのか、その物理化学的な特徴や起源・生成メカニズムには多くの謎がある」とし、「粒子の内部構造の違いは、粒子の揮発性、表面反応性、溶解性などの物理化学的な特徴に影響する可能性がある」ことにも触れた。
※この記事の概要
揮発性粒子の排出・生成メカニズム解明に期待
エンジン出口・下流で測定、電子顕微鏡で観察 など