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2018.12.17

WING

2021年には日本の宇宙港整備を、アジア初の宇宙港なるか?

地方も熱視線、宇宙港が宇宙ビジネスの新時代を切り拓く

 「端的に言って、2021年には日本国内に宇宙港を設けたい」―――。アジア初の宇宙港設置を目指すスペースポート・ジャパン共同創業者で理事の鬼塚慎一郎氏は、こう話す。鬼塚理事は、スペースポート・ジャパンの初期会員企業メンバーとして名を連ねているANAホールディングスの事業推進部宇宙事業化プロジェクトのプロジェクト・マネージャーという肩書も有する。宇宙というフィールドでビジネスが展開されようとしている現在、新時代の到来を見据えた宇宙港を保有するということは、その国の宇宙ビジネスの成否を大きく左右する。スペースポート・ジャパンの始動によって、宇宙港整備を巡るレースに、遅ればせながらようやく日本も名乗りを上げたかたちだ。
 鬼塚理事はスペースポート・ジャパンの設立発表以降、すでに「自治体からの声がけや問い合わせが複数ある」とし、「それぞれに温度差があるものの、5つの自治体から接触があった」と、地方自治体も宇宙港という新たなインフラに熱視線を送っている様相だ。ただ、スペースポート・ジャパンとしては、「特定の自治体を応援するということは現段階ではない」としている。
 宇宙港といえば、米国ニューメキシコ州のスペースポート・アメリカがもっとも有名だろう。ヴァージン・ギャラクティック社の拠点でもある同港は3000メートル級の滑走路を備えた世界初の商業宇宙港だ。ただ、米国には実に11港もの宇宙港が存在する。欧州をみても、英国やスウェーデン(キルナ)、フランスのモンペリエ、オランダ領キュラソーなどが名乗りを挙げているほか、中東のアラブ首長国連邦、アジアでもシンガポール、マレーシア、そして隣国の韓国などが宇宙港構想を打ち出しているところだ。宇宙先進国・地域である欧米は別として、日本が宇宙先進国の一角として、アジアで最も早く自前の宇宙港を持つことができるのか。ニュー・スペース、オールド・スペースを問わず国内の宇宙関連事業者はもちろん、国や自治体などが取り組みを加速することができるのか、大きな鍵を握ることになりそうだ。

 

鬼塚理事、宇宙産業発展とビジネス創出目指す
宇宙港なければ「何も始まらない」

 

※写真=スペースポート・ジャパンの理事を務める鬼塚理事。普段はANAホールディングスの事業推進部宇宙事業化プロジェクト・マネージャーだ

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※写真=早期に日本国内に宇宙港を!。宇宙港なしには日本の宇宙開発は他国に遅れるばかりだ。写真はヴァージン・ギャラクティックが拠点とするスペースポート・アメリカ