記事検索はこちらで→
2024.03.15

WING

陸自UH-60JA事故調査、出力低下対応で再発防止

取扱書にも記載ないロールバックが引き金か

 陸上幕僚監部は3月14日、宮古島沖で昨年4月6日に発生したUH-60JAの事故に関する調査結果を発表した。事故直後から設置した事故調査委員会の調査では、ヘリに搭載する2基のエンジンの出力が立て続けに低下したため、飛行を維持できず水面へ衝突してしまったことが分かった。事故のきっかけは機体右側第2エンジンで取扱書にも記載のない「ロールバック」という稀な事象が発生したためだと推定。さらに第1エンジンの出力低下については、人的なものも含めて3点まで要因を絞れたが特定に至らず、推定される全事象の安全策を実施した上で、限定的な飛行にとどめていた同型機の完全な飛行再開を目指す。
 森下泰臣陸幕長は当日の会見で、極めて稀な事象によって事故が引き起こされたことに、点検や検査の実施回数を増やすことや、さらにロールバックが発生したときの対処要領について周知を徹底するとして、今後は「1人も犠牲者を出すことのない決意で、再発防止に当たっていく」考えを示した。また第1エンジンの出力低下要因を特定できなかったことに、事故原因を可能な限り絞り込んだ上で、再発防止策を行っていくとした。現在、UH-60JAは、震災対応に限定して飛行を行っているが、関係地域へ再発防止策などの説明を十分に行ってから、本格的な飛行再開へ進めたい考えを示した。