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2024.03.06

WING

新SSM搭載エンジン「XKJ301」、機体統合実証を開始

 川崎重工業が開発、小型ながら推力は最大1.5倍に

 政府が抜本的な防衛力強化を図るなか、川崎重工業航空エンジンディビジョンは誘導弾などに搭載するエンジンの製造および研究開発を進めている。なかでも防衛力整備計画に基づきスタンド・オフ防衛能力の強化が図られつつあって、防衛省は川崎重工業を契約相手方に昨年6月、島嶼防衛用新対艦誘導弾(新SSM)の要素技術(その3)の研究試作契約を締結した。
 この新SSMに搭載するエンジンが、川崎重工業航空エンジンディビジョンが島嶼防衛用新対艦誘導弾(新SSM)の要素技術(その2)の研究試作で開発した「XKJ301」だ。この「XKJ301」は 同社が社内で独自に研究開発を進めた「KJ300」の派生型エンジンだ。

 同ディビジョン防衛エンジンプロジェクト総括部の藤井浩総括部長(理事)は「KJ300」について、「スタンドオフミサイル搭載用のターボファンエンジンとして、国内唯一のもの」であることを強調。「ターボジェットに比べて燃費が良い」と説明した。
 さらに、「KJ300シリーズは、エンジンを駆動する補機関係が電動化されているほか、発電機をエンジン内部に組み込んでおり、エンジン周りの補機関係を小型化あるいは撤去することに成功した」ことに触れ、「従来の設計に比べ、全体サイズは約3分の2のサイズに小型化したエンジン」と胸を張った。
 エンジン周りの付属品を小型化したことによりエンジン径を大きくすることが可能となり、結果として「同一サイズのエンジンに比べて、およそ1.2倍から1.5倍推力を上げることができる」ことを明かした。この推力が向上したことで、「機動性もかなり高い」とのことで、複雑な軌道を取る脅威に対しても対処能力を高めたエンジン設計だという。
 その「XKJ301」は「島嶼防衛用新対艦誘導弾の要素技術(その2)の研究試作において、エンジンは作り込んでいる」とのことで、「現状、島嶼防衛用新対艦誘導弾の要素技術(その3)の研究試作において、機体とエンジンを統合した誘導弾形態で飛行させることになっている」として、いよいよ誘導弾形態による実射フェーズへと入ったことを明かした。

※画像=島嶼防衛用新対艦誘導弾(新SSM)のエンジン・機体統合試験が開始。実際に飛行させて検証する(出典:防衛省資料より)

※この記事の概要
・小型無人機用「KJ3XX」も開発、詳細設計をスタート
・ 将来空対地ミサイルエンジンに「KJ10」提案
・生産基盤整備が課題、組立運転等の専用設備増強が必須 など