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2024.01.03

WING

羽田衝突事故、事故調査官6名派遣、エアバスも技術支援

 JALは着陸許可と認識、管制指示復唱後に進入・着陸操作

 Uターンラッシュ真っ只中の羽田空港C滑走路上で1月2日17時47分に発生した日本航空(JAL)516便(JA13XJ、A350-941型)と海上保安庁のボンバルディアDHC-8型機(MA722)の衝突・炎上事故が発生したことを受けて、欧州の機体メーカーであるエアバスは事故調査を支援するため、専門家チームを日本に派遣することを表明した。
 この事故は新千歳空港を16時15分(定刻:15時50分)に出発し、羽田空港C滑走路に着陸直後(17時47分、当初着陸予定時刻:17時35分)のJAL516便と、海上保安庁のMA722が衝突するというもの。海上保安庁機は、1月1日に能登半島地震が発生したことを受けて、羽田空港から新潟航空基地に向けて物資搬送する任務に従事していた。
 海上保安庁のMA722と衝突したJAL機は、衝突地点から約1000メートル地点で停止。JAL機に搭乗していた乗員乗客全379名は緊急脱出することに成功したが、一方で海上保安庁のMA722に搭乗していた6名のうち5名の死亡が確認された。残る1名は機長で脱出に成功。意識はあるものの、救急搬送された。MA722には当時、機長(上席飛行士:39歳)のほか、副機長(主任飛行士:41歳)、通信士(27歳)、探索レーダー士(39歳)、整備士(47歳)、整備員(56歳)が搭乗していた。
 またJALによれば、衝突後、脱出時に機内アナウンスシステムが故障して不作動となったため、客室乗務員がメガホンと肉声で脱出の案内を実施したとのこと。安全に脱出することができる出口を客室乗務員が判断し、3カ所の出口を使って乗客乗員が脱出した。この事故で打撲を負った人が1名いたほか、体調不良を訴えてクリニックを受診した人が13名いたという。
 この事故で閉鎖されたC滑走路の復旧の見通しはたっておらず、滑走路上には部品が散乱。衝突したJA516便の周辺にも消火剤が散布された状態となっている。
 事故発生を受けて運輸安全委員会は1月2日に6名の航空事故調査官を現地に派遣した。さらにエアバスもこ国際民間航空機関(ICAO)の勧告に基づき、運輸安全委員会および仏航空事故調査局(BEA)の調査を技術支援するとしている。
 事故発生状況および原因は確認・調査中の段階だが、ヒューマンエラーの疑いが強いものとみられるが、JAL側は「当社運航乗務員への聞き取りによれば、管制からの着陸許可を認識し、復唱した後、進入・着陸操作を実施した」としている。
 航空局によれば、管制官は滑走路1本につき1名、誘導路に関しても1名ずつ担当しており、さらにこれらを補佐する管制官が数名配置されており、管制塔全体で14~15名体制を構築しているとのこと。今回の事故では滑走路を担当していた管制官の経験年数は32年目、誘導路を担当していた管制官も17年目というベテランだった。

 

※写真=海上保安庁のMA722と衝突したJA516便と同型機のA350-900型機