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2023.12.27

WING

第191回「日本が危ない」躍動する悪の枢軸に立ち向かえ

再び指摘される悪の枢軸

数年以内に核保有数2倍も

 

 「悪の枢軸」という言葉を使ったのは米元大統領ジョージ・W・ブッシュだった。2002年1月の一般教書演説で、北朝鮮、イラン、イラクを名指しして非難した。この3カ国が「テロ支援国家」であるという位置づけだったが、今再び、米国で新たな「悪の枢軸」という言葉が使われている。ロシア、中国、北朝鮮を指す。これにイランも加わり、ウクライナ戦争などで連携を深めている。いずれも「専制国家」である。「民主主義陣営」は盟主である米国が来年の大統領選を控え内政の混乱が予想されており、試練を迎えている。
 「悪の枢軸が世界には存在する」と述べ、中国、ロシア、北朝鮮、イランを名指ししたのは米上院共和党院内総務、ミッチ・マコネルである。米CBSテレビのインタビューに対し、「我々は『悪の枢軸』に立ち向かわなければならない。彼らと取引してはならないのである」と強調した。
 元国防長官ロバート・ゲーツもこのほどフォーリン・アフェアーズに寄稿し、「米国は今、過去数十年、おそらくかつてないほど深刻な脅威に直面している。ロシア、中国、北朝鮮、イランという4つの同盟国の敵対国に同時に直面したことは過去に一度もない」との危機感を表明した。
 ゲーツは米国とこれら4カ国の国力を比較する。
 「これらの国の核兵器は、数年以内に2倍近くになる可能性がある。朝鮮戦争以来、米国はヨーロッパとアジアの強力な軍事ライバルと戦わなければならなかった。そして、敵が今日の中国ほどの経済力、科学力、技術力、軍事力を持っていた時代を覚えている人はいない」

 

中国に対抗しきれない米国
軽視される中・露の動向

 

 米国防総省が10月に発表した中国の軍事力に関する報告書によると、中国はこの1年で核兵器の備蓄を大幅に増やした。現在、運用可能となっている核弾頭の数は約500発に達し、2030年までには1000発以上の核弾頭を保有しようとしている。2035年には米露間の新戦略兵器削減条約(新START)が、戦略核弾頭の配備上限としている1550発に近づくとみられる。

 

ロシアをはじめ、中国、北朝鮮、イランが連携を深める

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