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2023.03.20

WING

政府と企業の結束が装備移転の成功に必須

 出遅れた日本の決め手は「人を売る」こと

 国内外の防衛・セキュリティ企業が参加した展示会「DSEI Japan 2023」で、3月16日に防衛装備移転政策をテーマにしたカンファレンスが開かれ、スピーカーとして参加した関係者らが今後装備移転を推進していく中で重要な取組みや課題などを示した。それによると、政府と企業が対等なパートナーとして取り組むことが特に重要になるとし、技術や性能よりも相手国との信頼関係を構築することが重要だとし、まずは人とのつながりをつくらなければ、移転事業を成功させることができないとした。
 このカンファレンスでは、元防衛省の取得改革担当審議官だった鈴木秀夫氏がモデレーターを務め、スピーカーには防衛装備庁の春日原大樹審議官、経済産業省の藤本武士審議官、海上自衛隊補給本部の星直也副本部長、米国務省政治軍事局地域安全保障担当のミラ・レズニック副次官補が参加して議論を繰り広げた。日本政府では防衛産業を日本の防衛力そのものだと位置づけ、今後政策の改善などを進めて装備移転しやすい環境を整える。その一方で、世界市場に対して日本は新参者であることを認めた上で、政府が海外との信頼関係を構築していくことで進められるとした。
 装備庁の春日原審議官は昨年末の防衛三文書改定で、海外移転政策が日本にとって望ましい安全保障環境を創出するため、さらには侵略や武力行使への対応や武力による威嚇を受ける国への支援となる重要な政策的手段として位置付けられたとした。装備移転が抱える課題については、持続可能な産業のために適正な利益率を確保することや、企業の競争力・技術力を強化すること、さらには撤退企業へのフォローアップや参入促進を図り、リスクに対するサプライチェーンやサイバーセキュリティ対策の強化を図っていく考え。

※この記事の概要
 藤本審議官、移転可能ケースを素早く政府が判断
 星副本部長、技術・人・プロセスが成功のカギ など