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2022.10.12

ウイングトラベル

★全国旅行支援の支出増加効果4464億円

 野村総研 木内氏、短期間の実施は妥当

 

 野村総合研究所の木内登英エクゼクティブ・エコノミストは、10月11日から始まった全国旅行支援の旅行支出増収効果を4464億円と試算した。全国旅行支援の事業期間を10月11日から12月23日までの74日、東京都が10月20日開始として、実質72日分で試算した。
 木内氏によると、観光庁の旅行・観光消費動向調査では、2021年の年間旅行支出増額は9兆1835億円で、全国旅行支援による支出が24.64%増加すると、金額は年間2兆2628億円。全国旅行支援が72日間続くと旅行支出額は4464億円増加、12月20日までだと4278億円と試算した。
 全国旅行支援による支出が24.64%増加する根拠は、同じく旅行・観光消費動向調査によると、日帰り旅行は1人1回の平均旅行支出額1万7328円を全国旅行支援の5000円上限割引と2429円(平日3000円、休日1000円)クーポン付与を換算すると実質的割引率は25.6%となる。
 一方、宿泊旅行は1人1回平均旅行支出額4万9323円、平均宿泊数2.8日、支援上限8000円、2429円分クーポンを換算すると実質的割引率は32.5%。日帰りと宿泊の旅行全体の平均割引率は30.8%になる。これに、内閣府の分析によるサービス消費の価格弾性値-0.8を掛けて、全国旅行支援による支出が24.64%増加すると導き出した。
 野村氏は、全国旅行支援を短期間での実施とした点は妥当で、一定程度の消費刺激効果が生じることは明らかとしながらも、開始後の混乱などを慎重に見極め、必要に応じて柔軟に制度を修正していくことが重要と指摘している。