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2021.12.14

WING

交通機関等における客の迷惑行為、約半数が経験

依然目立つ暴言・威嚇、コロナ起因の迷惑行為も

 全日本交通運輸産業労働組合(交運労協)がこのほど、交通運輸・観光サービス産業に従事する組合員に対する客による悪質クレームや迷惑行為、いわゆるカスタマーハラスメントに関するアンケート調査報告書をまとめた。このアンケート調査のなかで、直近2年以内に利用者などから迷惑行為被害を受けた件数は、総回答数2万908件中9753件と、利用者による迷惑行為を経験した人が全体の46.6%にのぼったことが明らかになった。
 「暴言」、「威嚇・脅迫」、「暴力」や「セクハラ」行為、さらには「何度も同じ内容を繰り返すクレーム」など、様々な迷惑行為がみられたほか、新型コロナ禍であるという世相を反映して、「消毒液をかけられる」といった迷惑行為を受けた事案も。さらに、新型コロナ感染症に関連して、交通運・観光サービスに従事しているという理由で同居家族が出勤あるいは登校を自粛するよう求められたことや病院の受診・検査拒否といったケースもあったという。
 最も印象に残っている迷惑行為については、「暴言」が4874件にのぼったほか、「何回も同じ内容を繰り返すクレーム」が1448件、「威嚇・脅迫」が1278件と多かった。その他、「権威的(説教)態度」が913件、「長時間拘束」は352件、「暴力行為」が277件などとなった。
 このうち航空業界のみを切り出してみると、最も強く印象に残った迷惑行為としては、「暴言」が最多の145件に。次いで、「何回も同じ内容を繰り返すクレーム」が89件、「権威的(説教)態度」が67件、「長時間拘束」は50件、「セクハラ行為」も13件あった。

 

 コロナ巡るトラブル、20%が経験
 同居家族にも被害が

 

 また、新型コロナ感染症に起因した迷惑行為があったかという問いでは、「ある」と回答した人が全体の20.2%(4230件)に達した。このうち航空関係は255件だった。
 新型コロナ感染症に関連した迷惑行為の中身としては、「暴言」が1311件(41%)だったほか、「威嚇・脅迫」が576件(17.6%)、「消毒スプレーをかけられた」が259件(7.9%)、「暴力行為」が85件(2.6%)あったという。なかには「病院の受診・検査などを断られた(本人・同居家族)」が156件(4.8%)、「同居家族が出勤や学校への登校の自粛を求められた」というケースも184件(5.6%)、「SNSやインターネット上での誹謗・中傷を受けた」が168件(5.1%)みられるなど、本人のみならず、同居家族にまで迷惑行為が及んだケースもあったことが明らかになった。
 新型コロナ感染症関連における航空業界の迷惑行為としては155件が報告され、そのうち「暴言」が35件、「威嚇・脅迫」が17件、「消毒スプレーをかけられた」は3件報告された。さらに「病院の受診・検査の拒否」が20件、「同居家族が出勤・登校の自粛を求められた」が15件、「SNSやインターネット上での誹謗・中傷を受けた」ケースも17件報告された。

 

 マニアの盗撮禁止呼びかけを
 搭乗拒否・警察通報を積極導入要望も

 

 アンケート調査のなかにおける自由回答欄では、航空関係者のなかからマニアによる盗撮を禁止する呼びかけを行って欲しいという要望が挙がったほか、マイルステータス制度などが客の権威的態度を助長していることを懸念する声も。さらに、カスタマーハラスメントに対して、諸外国のように、搭乗拒否、警察通報などを積極的にすべきこと、社員を守る制度を早急に作るべきといった要望がみられた。
 また、感染症予防の取り組みに対するトラブルも多いとのこと。例えば、マスク着用協力を巡るトラブルのほか、手荷物を自身で運ぶことあるいは手荷物預け入れ協力、隣席や周囲に十分な空席を希望する人、改札機の紙を客自身で取ること、さらには極度に対面・接触を嫌う客もいるという。

 

※画像=交運労協がカスタマーハラスメントに関するアンケート調査を実施。交通・観光サービスに従事する約半数の人が何らかのカスタマーハラスメントを受けた経験があることが浮き彫りに(提供:交運労協)