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2021.09.09

WING

第136回 日本が危ない! アフガンに見た日本の未来とは

再び始まったタリバンの支配
日本が拠出した7000億円は

 

 アフガニスタンは再びイスラム原理主義勢力タリバンが支配する国となった。アレキサンドロス大王以来、アフガニスタンには大国が侵入しては跳ね返されてきた。近年では大英帝国、そして旧ソ連、米国も例外ではなかった。その米国に協力して総額7000億円を拠出したのが日本だった。何を教訓とすべきか。
 8月初旬、日本政府に「タリバンが近くカブールに無血入場するだろう」との情報がもたらされた。「送り主」はロシアの情報機関。日露間では2018年11月、シンガポールでの首相、安倍晋三とロシア大統領ウラジミール・プーチンの首脳会談で、非伝統的脅威への対応における協力も進めることで合意していた。
 ロシアがアフガニスタン情報を特に注意を払うきっかけとなったのが6月16日にジュネーブで行われた米露首脳会談だった。事務方による事前調整ではアフガン情勢を話し合うことになっていた。米軍が撤退した後、タリバンが政権を奪還する可能性があるため、米露が協力する必要があるとの認識からだ。ところが、外務省元主任分析官で作家の佐藤優が月刊「創」で明らかにしたところによると、バイデンはアフガン問題を提起しなかった。
 「ロシアの協力無しでも米国はアフガニスタン情勢を統制下に置くことができると勘違いしている」とプーチンは受け止めただろうと佐藤は記す。
 プーチンは情報機関にアフガニスタンに関する情報収集と分析を強化するよう指示した。ロシアは旧ソ連時代、アフガンに侵攻したものの撤退を余儀なくされた苦い経験を持つ。周辺国も含めアフガンの動向は熟知している。

 

蚊帳の外だった湾岸戦教訓
インド洋で給油支援など展開

 

 8月初旬、ロシアの情報機関を通じて日本側には、ガニ政権は弱体化しておりタリバンの無血入場は早いとの情報がもたらされた。これを受けて、8月7日から訪米した国家安全保障局長の秋葉剛男は米側との協議でアフガン情勢を提起し、日本側の懸念を伝えた。だが、米側の反応は鈍かったという。

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