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2021.02.24

WING

川崎重工業、PCRサービスで陰性証明取得効率化の運用方法検討

空港到着前に駅などで受検、空港到着後の時間節約に

 川崎重工業が開発した移動式自動PCR検査ロボットシステムを使ったサービスについて、受検者が陰性証明取得までに要する時間を節約することが可能な新たな運用方法を検討していることが分かった。例えば鉄道の駅やバスターミナルなどに同社の検査システムを設けて受検することができるようにすることによって、例えば空港を訪れる前に検査を終え、空港到着後の陰性証明取得までの時間を節約することができるようにすることなどを想定している。
 川崎重工業のシステムは検体採取から80分以内に検査結果を出し、陰性証明を取得することができるようにするもの。例えば、国際線搭乗前の陰性証明取得では、空港内に設置するシステムで受検することを想定。日本国内で活用されてきた欧州製のPCR検査装置では約210分を要していたが、その時間を大きく短縮することを可能にする。陰性証明取得までの時間効率を高めた運用方法を検討することで、短時間で検査結果・陰性証明を取得することができる同社のシステムの強みを、より最大限活かしていく狙いだ。
 本紙のインタビューに応じた川崎重工業社長直轄プロジェクト本部PCR事業総括部総括部の納土英明総括部長は、「いかにお客様に効率よく素早く検査結果を届けるかがカギである。また昨今の市中拡大を考慮し、より大量に検査ができるようプール方式対応についても開発中である」ことに言及し、同社のシステムで利用している試薬を製造する製薬会社などと共同で、更なる改良を模索していることを明かした。
 時間短縮に関し、同社が考えているアイデアの一つが、検査結果を得るまでの時間の使い方だ。社長直轄プロジェクト本部PCR事業総括部グローバルマーケティング&セールス部の小平哲也部長は、「例えば、空港に向かう駅などに検査装置を設置、空港に向かう前に検査し、陰性証明を空港で受け取れるため、時間を節約することができるようにするという手法を提案することができる」とし、運用方法を工夫することで、旅客はよりストレスフリーに陰性証明を取得することができるようになるとの見方を示した。
 また受検価格については昨年10月の発表時に1万円を目指すとして注目された。当時は市中でも3〜5万円だったことから驚きをもって迎えられたが、その後は安価なPCR検査手法が登場して、街中では2000円〜3000円程度で受検することが可能になるなど、価格破壊が起きつつある。
 納土総括部長は「我々のシステムの最大のウリはロボットによる安定した高高検査精度の確保と短時間処理。街中の安価なPCR検査とは、その点で棲み分けを図る」ことを強調。「我々は単なる価格勝負ではなく、あくまで高信頼・高精度・短時間を主軸に取り組む」との方針を示した。
 
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 多種多様なロボット、様々なサービス提供目指す

※写真=お台場に設置したデモセンター。納土英明総括部長(中央)、小平哲也部長(右)、矢部秀一課長補佐(左)