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2021.02.05

WING

三菱重工、第3四半期純利益が96.7%減の33億円

民間航空機など収益改善、中間の赤字から黒字転換

 三菱重工業が2月4日に発表した2020年度第3四半期(2020年4月1日~12月31日)決算は、四半期純利益が前期比96.7%減の33億円となった。売上収益8.9%減少の2兆6033億円で、事業利益が85.7%増の237億円だった。ウェブで会見に臨んだ小澤壽人最高財務責任者(CFO)によると、前期に繰延税金資産を計上した反動で大幅な減益となったが、民間航空機の航空エンジン事業や中量産品事業では、受注・売上が第1四半期を底に順調に回復し、さらに収益改善の効果もあって、第2四半期の赤字から黒字へ転換した。
 事業を一時ストップしたスペーススジェット関連の投資については、前期末の損失1753億円から縮小したものの、今期は1031億円の損失を計上した。これは、2020年6月に買収したCRJプログラムの減損分を含んだものとなっている。個のスペースジェット関連の減損は、2019年度末の年間計画で約1200億円の減損を見込んでいたところ、第3四半期の時点で1031億円の減損になったという。スペースジェットの開発を行う三菱航空機の体制について、小澤CFOは継続的に人員の削減を進めて、最終的に「200人を切るくらいのレベル」にすると説明した。
 スペースジェット関連では、開発の減速による偶発負債を示していて、量産初号機の引渡予定時期を見通すことが困難となり、顧客などとの協議によって追加負担が発生する可能性があるとした。将来の財政状況や経営成績に影響が生じる可能性があると示すが、小澤CFOは、あくまで可能性として想定される状況を示しただけだとして、今のところ深刻な状況を想定しているわけではない考えを示した。ただし今後、想定外の事態に直面した場合には「当然柔軟な措置を考えていくことは経営上当然」のことだとして、状況に応じた対応を取っていく考えを示した。・・・

 

防衛・CRJが堅調な航空・防衛・宇宙事業
民間航空機は固定費削減を加速化

 

※写真=三菱重工業の第3四半期業績は前年同期比96.7%減の33億円に。スペースジェット事業で1000億円超の損失を計上したことなどが重しとなった