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2020.06.25

ウイングトラベル

★HIS中間連結決算、純損益34億円の赤字に

 売上高は8.9%減、200億円のコスト削減へ

エイチ・アイ・エス(HIS)が6月24日発表した2020年10月期第2四半期(19年11月〜20年4月)連結決算は、売上高が前年同期比8.9%減の3443億5300万円、営業損益は89億7900万円円の黒字から14億6900万円の赤字、経常損益は88億7400万円の黒字から7億6000万円の赤字、中間純損益は49億6400万円の黒字から34億5900万円の赤字にそれぞれ転落した。新型コロナウイルスによる海外の渡航制限や国内の移動制限により主力の旅行事業で372億円の減収となったのを始め、ハウステンボスグループやホテル事業などレジャー関連事業の経営環境が悪化したことが響いた。
 新型コロナウイルスの収束が見通せない中でHISは経営基盤を安定化させるため200億円のコスト削減に取り組んでいくのを始め、足元の対策として設備投資計画の見直しや手元資金の確保に向けた取り組みを進めていく方針を明らかにした。
 中間決算のセグメント別の状況を見ると、旅行事業は売上高が11.1%減の2995億8900万円、営業損失は16億7600万円となった。カナダの「Red Label」社の新規連結寄与があったものの、今年1月下旬から新型コロナウイルスの影響が出始め、各国の渡航制限などの措置が強化されたことにより大幅に需要が減少した。収益面ではコスト削減などの対策を施したものの、大幅に減少した売上をカバーすることができず、78億円減益となり赤字となった。

 

 人件費の削減や設備投資計画を見直しへ
 手元資金確保へ大手銀行と300億円の融資枠設定
 国内店舗再編、今後1年間で80〜90カ所閉鎖
 都市圏中心に整理、オンライン販売体制強化へ

 このほか、今後の取り組みとして旅行商品の販売チャネルの見直しも進めていく。国内の店舗については現在258店舗あるものを今後1年間で3分の1にあたる80〜90店舗程度閉鎖する方針を明らかにした。
 店舗再編について澤田会長兼社長は「旅行商品販売における店舗の役割は変わってきている。そうした中で店舗再編については、今回の新型コロナの問題が起きる前から検討してきたことだ」と強調した。店舗整理については、販売エリアの重複傾向が見られていた都市圏を中心に行っていく方針だ。

 

 澤田会長兼社長、海外旅行再開「年内は難しい」
 当面は国内旅行に注力、売上高1.5倍増目指す
 海外では物販事業を新規ビジネスとして推進
 エネルギー、不動産関連を新たな収益の柱に

 

 

※写真=オンラインで中間決算説明会を行うHIS関係者。右から2人目が澤田秀雄会長兼社長