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2020.06.22

ウイングトラベル

★国際交流再開へ、今こそPCR検査の拡充を

 越智JATA局長、官民で検査センター設置も

 政府は4カ国とのビジネス渡航から例外的に国際交流を再開させていく方針を公表したが、日本旅行業協会(JATA)の越智良典理事・事務局長は、「新型コロナウイルスの陰性証明書にはPCR検査が必要だが、ベトナムやタイなどとの交流再開に当たっても、検査数を増やすのは非常に難しいと聞く。このまま行けば海外旅行の復活はほど遠く、日本以外の他国間での国際往来がどんどん始まり、日本のビジネス競争力が落ちることが懸念される」として、国際往来再開のためのPCR検査を増やすため、「経済界や産業界からも資金を拠出し、官民挙げたPCR検査センターがあってもいいのではないか」と提言した。
 越智局長は、「PCR検査をきちっと行い、陰性証明書を出すことを拡大していきたい。そのために働きかけていく。PCR検査の拡大と海外旅行のガイドラインにより、海外旅行復活への環境作りが必要だ」として、とくにPCR検査の拡充は必要不可欠との見解を示した。
 もともとJATAでは過去のSARS(重症急性呼吸器症候群)での経験などを踏まえ、国際交流を蘇らせるための施策として、「出国時の検温」をベースとした健康チェックなどの国際的な仕組み作りを政府に要望していた。
 ただ、今回の新型コロナウイルスでは、発熱などのない無症状者も一定数いることから、検温だけでは対策は不十分で、諸外国でも入国時にPCR検査による陰性証明書の提示を求めることがスタンダードになりつつある。
 そうした状況を踏まえ、越智局長は、「今こそ陰性証明を出せるPCR検査体制の充実が不可欠だ」と強調。感染予防のための防疫体制の徹底を図りつつ、国際交流を蘇らせるためのPCR検査の拡充を進める必要があるとの考えを示した。
 今後の働きかけてにあたっては、ビジネス渡航の制約が足かせとなる経済界と歩調を合わせるほか、「航空会社や空港会社など、国際交流の早期回復が必要な関連産業とともに、一緒になって声をあげていく」考えだ。
 JATA内には既に、空港会社4社のトップや航空会社などが参画する「需要創造委員会」(旧VW委員会、今年4月に名称変更)が設置されていることから、コロナ禍で危機的状況にあるオール産業界が一致団結して、国際交流の再開に向けた取り組みを推進していきたい考えを示した。

 

※写真=越智良典JATA理事・事務局長

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