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2020.06.04

ウイングトラベル

★旅行関連産業、国自治体の事業継続支援が急務

 野村総研調査、外出再開でも旅行消費は低調

 野村総合研究所が実施した新型コロナウイルス感染拡大が旅行・外食・娯楽消費に与える影響調査によると、外食・娯楽は外出再開で消費が高まっているが、旅行は県外自粛などにより低調で、旅行関連産業が極めて厳しい経営環境にあることを指摘した。このため、国・都道府県は旅行関連事業者の事業継続のための支援策として、休業補償、クラウドファウンディング・ふるさと納税等に最優先で取り組み、事業者も地域と連携し、今後の観光のあり方を模索する必要があると提言した。
 同総研は、4月17〜19日と5月22〜24日の2回に分けてインターネットアンケート調査を実施し、外出再開意向の変化を分析した。その結果、外出意識が高まった生活者の32.5%が、自粛意識が高まった生活者の24.1%よりも多く、とくに緊急事態宣言解除時期が早かった都道府県ほどその傾向がでており、今後さらに外出意識が高まることを予想している。

 

 資金繰り悪化、移動制限、訪日激減の三重苦

 同総研は、休業要請・外出自粛要請の影響で、事業者のこれらの業種は資金繰りは危機的状況にあるとし、手元流動性が低い事業者が多く、手元流動性比率は外食関連の飲食サービス業で1.5カ月、旅行関連の宿泊業で1.6カ月と短く、生活者の外出自粛により売上が立たない期間が生じると資金ショートを起こしやすいことが予想される。

 

 休業補償・クラウドファンディング・ふるさと納税
 DMOと都道府県内のマイクロツーリズム推進

 また、今後は休業要請の段階的な緩和、感染拡大防止のためのガイドラインへの対応が求められるため、事業者が通常通りの営業を再開できるまでには時間がかかる見通し。とくに旅行関連業種の宿泊業に対する休業要請は「集会の用に供する部分」に限定されている場合が多く、その休業要請も多くの場合は初期段階で解除されるが、県外への移動や不要不急の旅行は継続して自粛を要請する都道府県が多いことがネックとなっている。

 

※グラフ=外出行動を行う生活者の比率(出典:野村総合研究所)