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2020.06.01

ウイングトラベル

★JTB決算、コロナ禍で黒字16億円にとどまる

 売上高6%減、販管費圧縮も営業利益78%減

 JTBグループが発表した2020年3月期の通期連結決算は、売上高が前期比5.8%減の1兆2886億円、営業利益が78.0%減の14億円、経常利益は15.5%減の25億円で、営業・経常利益ベースでは1-3月期の新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて減収減益だったが、最終純利益は前期の151億円の赤字から16億円の黒字に転換した。ただし、当初予想は54億円の最終黒字を予想していた。
 前期は業績不振だったブラジルやアジア地区の事業会社ののれん代や基幹システムの開発中止による減損処理により、129億円の特別損失と33億円の営業外損失を計上して9年ぶりの赤字だった。

 

 1-3月期 国内エース37%減、海外ルック18%減
 訪日旅行通期でプラスも1-3月期は41%減に

 部門別売上高は、国内旅行が10.2%減の4545億円、海外旅行が6.2%減の4401億円、訪日旅行が11.5%減の684億円、日本以外の第三国間のグローバル旅行が4.2%減の1106億円。
 国内旅行はエースJTBが通期14.0%減、うち1-3月期が40.1%減、団体は通期4.2%減、うち1-3月期37.3%減。海外旅行はルックJTBが通期3.4%減、うち1-3月期18.4%減、団体が通期9.5%減、うち1-3月期32.1%減。訪日旅行はラグビーW杯関連取扱額が増加して通期はプラスだったが、1-3月期は41.1%減だった。1-3月期売上高の新型コロナ感染症による影響は、国内・訪日旅行で4割減、海外旅行で2-3割減に達したが、4月以降は旅行全体がほぼ壊滅状態で推移している。
 JTBグループの売上構成比をみると、コロナ禍の影響を受けたものの、国内・海外旅行のシェアが縮小する一方で、訪日旅行、グローバル旅行が拡大しており、事業のグローバル化は進んでいる。

 

 20年度4-6月期 エース96-99%減、ルックゼロ
 全ての費目、聖域つくらず「緊急コスト削減」

 2020年度通期見通しは、新型コロナウイルス感染症が進行中で、JTBでは、「従来の基準で合理的に推量して算出することは極めて困難で未定」としている。
 4-6月期の販売状況をみると、エースJTBは4月97.2%減、5月99.7%減、6月96.5%減、ルックJTBは4−6月はゼロと壊滅状態。ただし、緊急事態宣言解除後も国内全店舗は5月31日まで臨時休業、一部店舗が電話対応のみとしていたが、6月1日以降順次営業再開を予定している。
 このためJTBは「足許の急激な販売減に対する緊急対策」として、一時的な「緊急コスト削減」と「抜本的な構造改革」の実行を経営の再優先課題と位置づけ、短期集中的に取り組むとしている。
 JTBでは、あらゆる費目に対して「聖域」をつくらずにコスト削減を実行する。広告費、出張費など販管費の削減、デジタル化の推進などを図ることでコストを圧縮する。