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2018.06.20

WING

JAL株主総会、出席株主数1255人と前年比”倍増”

3期ぶりの1000名超え、新体制・中距離LCCなど注目か

 

 日本航空(JAL)の定時株主総会(第69期)が6月19日、都内で開催された。今年の株主総会の出席者数は1255名。時間は2時間21分だった。昨年開催された68期定時株主総会の当日出席株主数は657名。一昨年の67期の出席者数も674名と、67期以降、当日出席株主数は1000名を超えていなかった。ただ、今回は新社長に就任した赤坂祐二社長を迎えた新体制で迎えた初めての定時株主総会であったことのほか、国際線の中距離LCC設立表明など、注目のトピックスがあったということもあって、前回・前々回を大きく上回る、ほぼ倍の当日出席者数となったようだ。なお、会社側が提案した1〜3号議案については、全て原案どおり承認された。
 今回の決議事項としては、1号議案は「余剰金の処分の件」。普通株式1株あたり57円50銭を配当することとし、その配当総額201億9547万4473円にのぼる。この会社側からの提案について、原案どおり承認された。
 また、2号議案は取締役10名の選任について。JALでは定款により、取締役の任期を1年と定めていることから、取締役10名は総会集結をもって一旦、任期満了となる。今期の取締役人数は前期で決定したように、取締役10名体制とし、取締役数が7名、社外取締役3名体制を踏襲する。今回は赤坂社長、清水新一郎常務執行役員、そして社外取締役で八丁地園子氏らが新任取締役候補として提案され、再任を含め全10名の取締役選任が承認された。3号議案については、監査役1名の選任。久保伸介氏を監査役とすることを認めた。

 

赤坂社長、中距離LCCは高度な技術・経験必要
10年後の姿・グランドデザイン実現向けた挑戦

 

 4月に新社長に就任したばかりの赤坂社長は、今年2月に発表した2027年度までの「グランドデザイン」に触れ、「10年レンジで実現したい、私達のありたい姿」とコメント。グランドデザインに掲げた「営業利益率10%以上の高い収益性にこだわり、売上2兆円、営業利益2500億円、時価総額3兆円を達成する」ことをあらためて宣言した。その上であらたに設立することを決めた国際線中距離LCCについて、「グランドデザインの実現に向けた挑戦の一つ」であるとコメント。「この新会社は、高度な技術と経験がなければ実現し得ない」との認識を示し、グランドデザイン実現に向けた「挑戦の一つ」であることを明かした。「お客様に新たな選択肢を提供し、訪日外国人をはじめ、日本の交流人口の増加に貢献していく」としている。
 また赤坂社長自身、入社以来、整備と安全推進部門畑で過ごしてきたことに言及。「安全の最前線に身をおいてきた経験から、安全運航こそがJALグループの存立基盤であり、社会的使命であることを体に染み込ませてきた」とコメント。一方で、熊本空港を離陸したJAL機からエンジン部品が脱落したことに触れ、「誠心誠意の対応と再発防止に全力を挙げていく」と話した。
 なおJALは2017年度の決算で、営業収益が前期比7.3%増えた1兆3832億円と増収を記録。営業費用は1兆2086億円と、前期比8.1%増加となったことから、営業利益は2.5%増えた1745億円、経常利益は1.1%減の1631億円、当期純利益は、前期の法人税等調整額の影響もあり前期比17.5%減少した1354億円となった。
 国際線においては旅客収入が4629億円と、前期の4152億円から伸ばすことに成功。有効座席キロベースでは2.4%増えた518億3600万座席キロ、有償旅客キロは3.4%増えた420億1300万人キロ、有償座席利用率は0.8ポイント増えた81%と、各指標で好調だった。
 一方、国内旅客収入は5182億円と、前期の4986億円と比べて堅調に成長。有効座席キロは0.8%増えた357億1400万座席キロ、有償旅客キロは4.5%増えた256億4300万人キロ、座席利用率も2.5ポイント上昇した71.8%と好調だった。ただ、競争環境が一層激化していることに加えて、羽田国際線増枠などを見据えた人件費などの先行投資が膨らむことのほか、足元で原油価格がジワジワと上昇してきているなど、18年度3月期は最終減益を見込む。

 

■7月1日付で執行役員の坦務一部変更

 

 日本航空(JAL)は6月19日に開催した取締役会で、7月1日付で執行役員の坦務を一部変更することを決めた。具体的にはイノベーション推進本部の西畑智博執行役員の坦務が、路線統括本部旅客システム推進部担当、デジタルイノベーション推進部担当となる。
 さらに、現在路線統括本部長および路線統括本部旅客システム推進部担当を務めている菊山英樹執行役員の坦務から、路線統括本部旅客システム推進部担当が外れることになった。

 

(7月1日付:執行役員の坦務変更)
▼西畑智博=路線統括本部旅客システム推進部担当、デジタルイノベーション推進部担当(イノベーション推進本部長)
▼菊山英樹=路線統括本部長(路線統括本部長、路線統括本部旅客システム推進部担当)

 

※写真=赤坂新体制が発進したJAL。中距離LCCなど様々な”挑戦”に挑むことで厳しい競争をくぐり抜ける