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2018.06.18

WING

航空保安コンテスト開催、全日警の斉藤・橋本コンビが優勝

全国から選りすぐりの保安検査のプロ30名が集結!

 

 航空保安の更なる強化と保安検査品質向上に向けて保安検査コンテストが、去る6月13日に羽田空港で開催された。このコンテストで見事優勝を勝ち取ったのは、全日警の齋藤秋江さんと橋本淳さんのコンビ。二人は羽田空港第二ビルで保安検査に従事している。
今回のコンテストには、全国15空港14社の保安検査会社から計30名が参加。会場内には実際の保安検査場に見立てた舞台を用意して、保安検査スタッフ二名が日頃磨き上げた実技を披露した。実技審査は10分間ほどで、この間に日本語・英語を全く話すことができない旅行者や、検査を拒否する旅客など、様々なケースを想定して、その対応を競った。なお、同コンテストは国内の航空会社14社で構成する国内定期航空保安協議会が主催した。
 コンテストの締めくくりには、優勝した斉藤さん、橋本さんが「空の安全・安心は、私達に任せて」と掛け声をかけ、その後、会場全員で「OK!」と叫び、コンテストを終えた。
 優勝した齋藤さんは、経験4年8ヵ月。コンビを組んだ橋本さんは、経験わずか1年2ヵ月というまだまだ新人だ。斉藤さんは優勝について「この賞に恥じることがないよう、検査場でも同じようなパフォーマンスが発揮することができるように努力していきたい」と喜びを爆発。一方の橋本さんは、やや緊張した面持ちながら、「頼れる先輩とご指導下さった先輩たちに感謝の気持ちでいっぱい。この賞を獲ることができたことを、心から誇りに思う」と、受賞を喜んだ。
 斉藤さんは「お客様の側に立って、お客様の気持ちを考えて接することを心がけた」とし、一方の橋本さんも「笑顔を心がけており、お客様に笑顔で接客することを心掛けている」とコメント。コンテストでも一つのテーマになっていた訪日旅客対応については、「英語があまり得意ではないので、笑顔とジェスチャーでなるべく伝わるように普段から心がけている」(斉藤さん)ことを明かした。
 また、コンテストに参加して、他社の代表からどのような点を学んだかという点については、「検査の丁寧さを欠くことはできないが、迅速さを身につけることができるようになりたいと感じた」とコメント。一方の橋本さんは「今の仕事に就いて、1年2ヵ月目。経験も浅く、(他の参加者のスキル)全てを学ぶことができた」と話した。
 コンテストを総評した日本航空(JAL)の阿部孝博空港本部長(執行役員)は、「全国から選ばれた30名が、航空保安における真摯な接客、厳格な保安検査をして頂いた。我々、航空会社として、これほど安心なことはない。優れたプロの仕事を見せて頂いた」とコメント。「保安検査場では、同じ現象は発生しない。毎日のように異なる応用が求められる」とし、「時には次に待っておられるお客様のプレッシャーを感じたり、飛行機の出発時間のプレッシャーを感じるなかでも、みなさんが最高のパフォーマンスを発揮していただき、空の安全を一緒に守るという大切な役目」との認識を示した。その上で、「皆さんがおられなければ、飛行機は飛ぶことはできない」ことを強調し、「皆さんがプロフェッショナルとして保安検査場を守って頂くことが、日本の安全を守る」と話した。

 

三年で辞めると言われる現場、人材不足は深刻
コンテスト開催などでモチベーション向上

 

 二年後に迫った東京オリンピック・パラリンピック大会。大勢の訪日外国人旅客が日本を訪れることが想定され、海外から向かい入れる多数のゲストに、如何に気持ちよく、効率的な検査を実施することができるのか、航空保安の現場の腕の見せどころだ。
 一方で航空保安の現場スタッフは、「三年程度で辞めてしまう」と言われるほど、現場は人手・人材不足。多くの旅客が保安検査場に詰めかけ、かつ保安検査に全ての旅客が協力的な訳ではないなど、プレッシャーがかかる現場であるだけに、離職していく人は後を絶たない。その一方、旺盛な訪日需要やLCC台頭で日本の空の航空需要は増加しており、現場からは悲鳴が上がっている。
 わずか三年ほどでスタッフが辞めてしまうことから、いつまで経っても人手が足りず、現場は少ない人員で回さなければならないなど疲弊続き。
 そうしたなか、こうしたコンテストの開催を通じてスキルアップを図ることはもちろん、スタッフのモチベーション向上に繋げる動きが出てきた。また、具体的なキャリアパスを示そうとする動きなど、貴重な人材確保・育成に向けた動きが本格化してきた様相だ。