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2020.03.24

ウイングトラベル

新型コロナ影響ヒアリングで各業界が支援要望  

坂巻JATA副会長、安倍首相に旅行業窮状説明

 新型コロナウイルス対策本部は3月23日、新型コロナウイルス感染症の実体経済への影響に関する集中ヒアリングを開き、旅行業界からは坂巻伸昭日本旅行業協会(JATA)副会長(東武トップツアーズ社長)、近藤幸二全国旅行業協会(ANTA)副会長、航空業界から平子裕志定期航空協会会長(全日空社長)、旅館業界から北原茂樹日本旅館協会会長などが出席し、安倍首相に各業界の現状と経営支援を要望した。
 坂巻氏は資料として、主要旅行業者取扱額の2019年実績と2020年予測の比較と、2019年旅行消費額(月別・旅行動態別)の2表を提出した。
 JATAの試算によれば、主要旅行業者総取扱額は2月が前年同月比20%減の3103億円だが、3月は69%減の1456億円、4月は66%減の1491億円と7割近く減少すると予測。したがって、旅行業界としては3月、4月を乗り切ることが最重要課題となる。
 内訳を見ると海外旅行は2月が21%減、3月が70%減、4月が61%減と大幅ダウンを予測した。
 訪日旅行は2月が64%減、3月が81%減、4月が82%減と、海外旅行にも増して減少幅は大きいと見ている。
 その上で、足元の経営継続支援策の強化策として、雇用調整助成金助成率の東日本大震災時と同様レベルへの引き上げと支給限度日数の延長を全国で適用となるよう以下の5項目を要望した。
(1)助成率を大企業1/2から2/3、中小企業は2/3から4/5へ、支給限度日数を100日から200日へ引き上げ。
(2)感染リスクを下げる対策を観光産業で共有化することを条件に旅行・イベントの自粛要請の解除。
(3)修学旅行を中止するのではなく延期での実施と学校側に取消料が生じる場合の財政支援。
(4)毎月1.5兆円と推定される旅行需要の消失を取り返せるような大規模な需要回復キャンペーン、これまでのふっこう割等をはるかに超える財政規模、キャンペーンを実現しやすくするための有給休暇取得運動など、全国的なムーブメントづくり。
(5)国際交流を蘇らせるための出国時の検温、健康チェックなどの国際的な仕組みつくりを日本から提案。

 

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※写真=新型コロナウイルス感染症対策本部のヒアリングで、安倍首相からヒアリングを受ける坂巻JATA副会長、近藤ANTA副会長、平子定期航空協会会長、北原日本旅館協会会長ら(首相官邸公式ウェブサイトから)

 

※主要旅行業者取扱額の2019年実績と2020年予測の比較(首相官邸公式ウェブサイトから)