記事検索はこちらで→
2020.02.27

WING

SUBARU、栃木の新名物は「ヘリコプター」

SUBARU BELL 412EPX、国内外で反応上々

 SUBARU航空宇宙カンパニーの戸塚正一郎プレジデント(常務執行役員)と若井洋ヴァイス・プレジデントが本紙の取材に応じて、イチゴと餃子に続く新たな「栃木の名産」と胸を張るのが、陸上自衛隊向け新多用途ヘリコプターおよびその民間版であるSUBARU BELL 412EPXだ。SUBARUが昨年2月末、防衛装備庁に納入した新多用途ヘリコプター試作機(XUH-2)は、現在も防衛省による運用試験が継続中だ。SUBARUも技術者を派遣して支援を継続しているところ。2019年度予算でC-1契約として6機分の調達の予算が計上。中期防衛力整備計画では、C-1契約を含め2023年度末までに計34機の調達が計画されており、量産段階へと進む。
 一方、新多用途ヘリコプターのベースとなる民間ヘリコプターSUBARU BELL 412EPXについてSUBARUは、日本市場はもちろんのこと、海外市場のヘリコプター需要を摘み取るべく、様々な展示会などで機体の売り込みを図っている。
 戸塚プレジデントは「海外から色々と引き合いを頂いているし、国内のお客様にも相当な興味を頂いている」として、市場の反応は上々であることを明かした。海外からも「警察、救難など、多用途のニーズがあるということを把握している」としており、「日本国内でも色々な災害が多発し、そうした事態におけるヘリコプターの有用性が改めて認識されている」として、様々な用途の引き合いがあることに触れた。

 IR-OPV試作品を装備庁に納入

 またSUBARUは昨年3月末、防衛装備庁から受注した「航空機搭載型小型赤外線センサシステムインテグレーションの研究試作」の試作品を納入した。
 SUBARUは既存の小型航空機(KM-2D)を改修した飛行試験機に搭載する警戒監視用の小型赤外線センサおよび高度な飛行制御システムならびに管制(遠隔操縦)を行うための地上システムなどの試作品を開発・製造。IR-OPVはIRセンサ(赤外線センサ)を搭載したオプショナリー・パイロット・ビークル(OPV)の意味で、有人あるいは無人でも飛行することが可能なかなり特殊な航空機だ。日本国内ではこうした有人・無人どちらでも対応可能なシステムを飛ばすことに成功したのは、SUBARUが初めてのことになった。
 若井ヴァイス・プレジデントは「約5年に亘る試作事業のなかで、2019年10月から11月にかけて、大樹町で航装研の飛行試験が実施され、KM-2Dに警戒監視用の小型赤外線センサを載せて、常続的な警戒監視を評価されたと聞いている」としつつ、「当社としてより高度な自律飛行技術に挑戦しており、この自律飛行は従来の自動飛行というよりは、自動運航にまで踏み込んだもの」だったとコメントした。
 「このユニークさは、我々のセールスポイント。有人/無人の操縦を選択し運航できる」とし、「警戒監視のみならず、様々な活用方法があると思うので、防衛省などと共に考えていきたい」としている。その上で、「民間分野においても、将来モビリティなどで技術は有用」としており、空飛ぶクルマといった将来のモビリティのベースとなる技術の一つに取り組んでいるとの認識を示した。

 777X、19年12月末までに計14機分を引き渡し
 ボーイングNMAへの取り組みは?

※写真=防衛省による運用試験継続中のXUH-2。いまや栃木の名産の一つだ(提供:陸上自衛隊)