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2019.09.27

WING

令和初、大綱・新中期防策定後初の防衛白書が発表

新領域の重要性や新概念等をコラムで解説

 防衛省は9月27日、令和元年版防衛白書を発表した。新元号下且つ新しい防衛計画の大綱および中期防衛力整備計画の策定後、初の防衛白書となる今回の内容は、新大綱・中期防の内容を国民に理解してもらえる様、巻頭特集として掲載するほか、本文においてもその内容をコラムを交えながら詳しく説明する。
 日本を取り巻く安全保障環境については、中国、北朝鮮、ロシアの動向に注目。特に北朝鮮については、新大綱の評価を維持し、重大かつ差し迫った脅威だと位置づけ、核・ミサイル能力に本質的な変化は生じていないと評価。核兵器の小型化・弾頭化についても、核実験を通じた技術的成熟等を踏まえ、「既に実現しているとみられる」として、昨年の白書での「実現している可能性」から評価を改めた。
 また、安全保障協力の項目でも各国の記載順を豪、印、ASEAN、韓、欧州諸国等、中、露の順とした。ちなみに昨年版では韓国は豪州に次ぐ2番目だった。
 今回の白書について、防衛省の担当者は「新しい概念である『ハイブリット戦』や『グレーゾーン事態』は一般の方には分かりにくく、両者を混同してしまう方もいるかと考え、コラムで解説する等工夫した」と語る。
 また、昨年同様にAR動画を活用し、2018年7月から2019年6月までの防衛省自衛隊の動向を振り返ることができるようにした。さらに今回は新元号下初の白書ということで、「平成の防衛省・自衛隊」を振り返る巻頭特集を掲載。こちらもAR動画を活用し、ペルシャ湾掃海部隊派遣やカンボジアPKO等での防衛省・自衛隊の活動を振り返ることができるようにした。
 なお、今年の防衛白書は9月28日の閣議終了後に防衛省ホームページで発表するほか、書店等でも10月末頃の販売を予定している。

 

安全保障環境は新大綱に基づき、構成・評価
日韓関係は韓国のGSOMIA終了通告にも触れる

 

 今回の白書では、日本を取り巻く安全保障環境の諸外国の軍事動向の記載順を、新大綱の構成順に基づき米国、中国、北朝鮮、ロシアの順に変更する等、新大綱の評価に基づいた評価を基本的に維持している。その上で、既存の秩序をめぐる不確実性が増大し、政治・経済・軍事にわたる国家間の競争が顕在化しているとし、軍事と非軍事の境界を意図的に曖昧にする「ハイブリッド戦」の手法を採ることで、「グレーゾーン事態」が長期化する傾向にあると述べた。また、宇宙・サイバー・電磁波領域といった新たな領域の重要性が高まっているほか、戦闘様相を一変させるゲームチェンジャー技術といったテクノロジーの進化が安全保障のあり方を根本的に変えようとしていると説明した。

 

防衛力整備に向け、住民説明等真摯に行う

 

※写真=防衛省は9月27日、令和元年版防衛白書を発表した(提供:防衛省)