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2019.09.24

ウイングトラベル

近代ツーリズムの祖、トーマス・クックが破産

海外に15万人以上滞在、CAAが帰国便無料手配

 近代ツーリズムの祖であり英大手旅行会社のトーマス・クックグループは9月23日、全ての営業を停止し、ロンドンの高等裁判所に破産を申請した。同グループのツアーオペレーターや航空会社、ホテルは全ての取引を停止、トーマス・クックを通じた予約は全てキャンセルされた。これを受け、英国民間航空局(CAA)は同日声明を発表し、同日時点で海外に15万人以上滞在しているトーマス・クックの顧客を英国に帰国させるため、本国帰国飛行プログラムを開始。9月23日〜10月6日までの2週間に、政府がチャーター便を用意するほか、他のエアラインの既存便なども活用し、トーマス・クックの顧客が英国に無料で帰国できるよう帰国便を手配すると発表した。
 トーマス・クックグループは、9月23日の破産申請に関する発表のなかで、グループの資本増強と組織再編に向けた最終条件を確保するため、週末にわたり主要な利害関係者と交渉を続けてきたが、多大な努力にも関わらず最終的な合意に至らず、同社の取締役会は破産申請以外に選択肢はないと結論づけたとしている。同社グループは、中国の復星集団(フォースングループ)や主要銀行らと交渉していた。
 トーマス・クックのピーター・フランクハウザーCEOは、「過去数日間、トーマス・クックの従業員、顧客、サプライヤーの将来を確保するため、徹底的に取り組んできたが、契約はほぼ合意されていたものの、交渉の最後の数日間に求められた追加要求は、最終的に乗り越えられないことが判明した」と説明。
 会社存続を断念し、破産申請したことについて、「数百万人もの顧客と、長年にわたってサポートしてくれた何千人もの従業員、サプライヤー、パートナーに謝罪したい」としたほか、「パッケージ旅行を開拓し、世界中への旅行を可能にした会社にとって、非常に悲しい日だ」とコメントした。
 営業停止に伴い、トーマス・クックグループはロンドン証券取引所の主要市場での取引を直ちに停止した。

 

 CAA、帰国便を案内する専用サイト開設
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 ホテルで問題発生時はコールセンターに連絡を

※写真=トーマス・クック航空のフライトも全てキャンセルされた