記事検索はこちらで→
2019.06.14

WING

ANA、本邦初の777フレイター導入で貨物事業拡大

米中貿易紛争懸念も中長期的に拡大する貨物需要

 全日空(ANA)は6月13日、日本の航空会社として初めて導入した777フレイターを報道陣に公開した。ANAはこの機体を来る7月2日から成田-上海線に投入することを皮切りとして、10月末にはシカゴ線にも投入を開始する。ANAの貨物事業収入は約1600億円(2018年度)。新たに手にした777フレイターや拡大する旅客便ネットワークを活用して、2019年度の貨物事業収入を1690億円へと拡大することを目指す。ちなみにANAカーゴの平均ロードファクターは70-80%とのこと。777フレイターでも同水準のロードファクターを獲得することを狙う。
 時は折しも米中貿易紛争の真っただ中。大きな懸念材料は米国による対中追加関税の第4弾の発動だ。先行きに不透明感が漂うものの、それでも中長期的な予測ではアジア-北米間の貨物流動は年平均4.6%もの世界トップの高い成長率(ボーイング予測)が見込まれている。ANAはとりわけ北米路線に777フレイターを投入することで貨物スペースの供給量を拡大し、これまでボトルネックとなっていた日本→北米間のボトルネックを解消することに繋げたい狙いだ。
 なお、ANAは777フレイターに愛称として「BLUE JAY」と名付けた。その由来は北米に生息するアオカケス。機体胴部後方に「BLUE JAY」のロゴを描き、ANAの貨物事業の「挑戦」を記した。

 

単価下落も「2年前の水準」と高レベル維持

 

 これまでeコマースなどがけん引役となって世界の貨物輸送需要が旺盛だったものの、米中貿易紛争の影響で市場は低迷気味だ。
 押しなべてみると、右肩上がりに伸びてきた単価上昇にもブレーキがかかり、今は下降曲線を描きつつある。それでも単価は「2年前に戻った水準」(ANA)との認識で、「5-6年前は非常に苦労した。(米中貿易紛争で単価は下落したが)5-6年前の水準ではない」と、まだまだ高い単価水準をキープすることができているという。

 

懸念は北米→日本のスペースを如何に埋めるか
eコマースの伸びがドライバーに

 

大幅に拡大する貨物の供給スペース
優れた燃費性能や航続距離も注目

 

わずか4席の客室空間、セルフのミールサービスも
座席は初導入の「新シート」、かつてのCクラス彷彿

 

※写真=ANAが導入した777フレイター

※写真=米中貿易紛争中でANA貨物事業も影響を受けている。それでも777フレイターや豊富な値旅客便ネットワークを武器に貨物事業の増収を目指す

※写真=777フレイターの内部

※写真=わずか4席だが座席を設置

※写真=貨物扉脇にはアオカケスをイメージロゴを塗装。777フレイターの愛称は「BLUE JAY」に