記事検索はこちらで→
2018.05.10

WING

ジェネラル・アトミクス、壱岐でガーディアン飛行実証式典

ブルーCEO、地元支援に感謝、「実験は成功すると確信」

 ジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ(ジェネラル・アトミクス)は5月9日、壱岐空港において、日本国内で初めてとなる中大型無人航空機MQ-9「ガーディアン」による飛行実証実施に向けて、記念式典を挙行した。ジェネラル・アトミクスは日本における飛行実証のために、特別塗装の「ガーディアン」を準備。機体全面を真っ白に塗り、前部胴体に大きな日の丸と日本列島、そして壱岐市の市章ロゴを入れた。なお、実証実験の期間は5月9日から26日までの間を設定している。
 当初は記念式典が行われた9日午前にも「ガーディアン」の日本国内初飛行を実施する計画だったものの、生憎、現地の天候が悪天候続きで機体整備などの準備が整わず、9日のフライトは見送りに。9日現在、10日に初飛行実施を行うことを計画中だ。
 米本国から来日したリンデン・ブルー最高経営責任者(CEO)は、過去二年間に亘る準備期間を経て今回の実証実験に結びついたとしながら、「壱岐は実証実験に適した地の利があったことに加え、何よりも地元の皆様のサポートが得られることが大きい」と、実証実験をサポートしている地元・壱岐に謝意を表明。その上で、「壱岐島周辺を飛行することで、漁業の状況をモニタリングしたり、あるいは海上保安庁向けに救難信号の傍受、さらに通常の民間航空機と同じ空域において、この無人機を飛ばすことなどを考えている」ことを明らかにした。
 また、「既に米国の国家安全保障省と培った実績に基づいている」と、「ガーディアン」の安全性を強調。「実証実験は成功すると確信している」と話した。
 ちなみに、ジェネラル・アトミクスは壱岐で行う平和利用目的の実証実験と同様の実験を、米国外ではカナダや豪州で数年前に実施したことがあるものの、これだけ大規模な実証実験を米国外で行う初めてのこと。実証実験に必要な費用についても、同社が全て負担しているという。
 ブルーCEOは大規模な実証実験を日本で行うことについて、「日本、アジア地区のポテンシャルを見据えたため」と説明。ポテンシャルについてはとりわけ「海に囲まれた地域であり、機体が有する性能からして、洋上をモニタリングするようなミッションに適しているのではないか」との見方を示した。

 

 白川市長、「壱岐のPRと人口減少対策に」
 地元で早くも経済効果に期待も

 一方、壱岐市の白川博一市長は既報の通り、『IKI無人航空機実証フィールド”(仮称)という構想を披露した。この構想は、壱岐空港の滑走路を利用して、将来的に中大型機無人機の実証フィールドにしていくというもの。「人口減少に非常に困っている。今回も人口減少対策の一つということをご理解頂きたい」と話す。「(実証実験は)今のところ3週間の話しでストップしている。しかしながら、気持ちとしてはジェンラル・アトミクスにもお付き合いを頂き、壱岐の振興に繋がっていけば」と、将来構想に今回の実証実験が繋がっていくことに期待を寄せた。
 地元のあるタクシー運転手は、「白川市長は思い切ったことをした」と評価をしながら、実験で無人機が飛ぶということで、多くの外国人が島に来ており、毎日のようにタクシーを利用してくれている」と話す。「最近はテレビのロケやイベントなどがあって、今回の実験もあり、毎日大忙し」とし、島に早くも経済効果をもたらしている様相だ。
 今回の実験では、米国からジェネラル・アトミクスのチームが壱岐島に長期滞在。機体を扱うオペレーターや整備などの専門チームが約3週間に亘って島に滞在する。

 

 10回の飛行で10種類の試験実施を計画
 日本政府機関がネットで飛行画像閲覧可能に

 ジェネラル・アトミクスが実施する今回の飛行実証は、海上における救難救助や密漁船対策などの洋上監視のほか、気象観測、災害監視、さらには航空・通信・産業利用支援などに向けたデータを収集などを実証することを目的としたもの。
 期間中、1回当たり5時間ほどのフライトを、計10回程度実施する計画で、「今回の飛行は、機体が撮影した画像などについては、ウェブサイトを通じて日本政府関連機関の関係者などがリアルタイムで見ることができるようにする」(ブルーCEO)としている。
 同社が壱岐島に持ち込んだ「ガーディアン」は、「米国の国土安全保障省で使われている機体と同一仕様」(ブルーCEO)とのこと。「米国土安全保障省は、メキシコ湾や太平洋などにおいて、密輸船の取り締まりなどに投入している」という。
 機体には水上レーダー、高性能カメラ、衝突回避レーダーといった3種類のレーダーを搭載しており、水上レーダーは200キロメートルもの広範囲を探知する。高性能カメラも、その有効撮影範囲は30〜35キロメートルを有しているという。残りの一つは機体前部に搭載している衝突回避レーダーで、これにより周辺を飛ぶ飛行機を探知して、オペレーターが回避行動を採ることができる。ブルーCEOは、「今回の実証試験では、10種類の試験を実施する」ことを明かした。
 ちなみに、壱岐における実験では5時間ほどの飛行に留まるが、「ガーディアン」は30時間以上を飛行する能力を有する。増槽オプションを搭載すれば、40時間以上ものフライトを可能だ。飛行は見通し内ではCバンドデータリンクを使って機体をコントロールするが、見通し外ではKuバンドの衛星通信で操縦する。機体は長時間のフライトが可能だが、長時間フライトの場合、人間のオペレーターは交代でミッションに当たることになる。

 

※写真=ジェネラル・アトミクスがいよいよ壱岐空港で3週間に亘る飛行実証を実施へ

 

※写真=飛行実証に投入するガーディアン

 

※写真=地上に配したトレーラー内で機体をコントロールする。実験では米本国から専門のチームが来日している

 

※写真=リンデン・ブルーCEOが壱岐に来島。投入するガーディアンは特別塗装。真っ白な塗装に日の丸、日本列島、壱岐島の市章を入れ込んだ

 

※写真=記念式典におけるテープカットセレモニー

 

※写真=ブルーCEOと白川市長が記念品を交換