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2019.05.27

ウイングトラベル

JTB決算、9年ぶりの最終赤字、過去最大額

海外子会社不振とシステム開発中止が影響

 JTBが発表した2018年度(18年4月〜19年3月)連結決算は売上高が前期比3.4%増の1兆3674億円、営業利益が23.2%増の63億円、経常利益が67.9%減の30億円、当期純損益が10億円の黒字から151億円の赤字となった。
 MICE関連を中心とした法人事業の売上やグローバル事業でのM&Aによる事業拡大により増収となったものの、業績不振だったブラジルやアジア地区の事業会社ののれん代や基幹システムの開発中止による減損処理により、129億円の特別損失と33億円の営業外損失を計上した。これにより、純利益ベースで大幅な赤字となった。同社の決算が最終赤字となったのは2009年度以来で、赤字額は過去最大を記録した。

 

 高橋社長「一度身軽になり、経営改革推進」
 グローバル事業再構築、22年度に黒字化実現

 

 多額の損失を計上し、過去最大となる赤字決算となったことについて、記者会見した高橋広行社長は、「経営改革を行う上で乗り越えなければならない壁であると考えており、一度身軽になった上で『第3の創業』を実現させる」と改革を断行する強い決意を語った。
 JTBは2022年に従来の旅行業モデルからソリューションモデルに事業形態の変革に取り組むとともに、営業利益を安定的に200億円計上するための経営改革に着手している。そうした中で、景気低迷で業績不振となっていたブラジルの子会社やアジア事業の子会社の内容を整理してグローバル事業の再構築をはかることにした。高橋社長はグローバル事業については「2022年度までには黒字化させたい」とした。

 

 自然退職と新規抑制で従業員2000人削減へ

 

 一方、システム関連については「これまで開発してきた基幹システムは、急激に進むダイナミック化の動きに対応しづらいものとなっており、一度開発をストップして、新たなものを作り直すことにした」と述べ、現在の旅行業界を取り巻く大きな流れに着実に対応していくために仕切り直しをすることにした点を強調した。
 さらに高橋社長は経営改革を断行していくために、人員の最適化に取り組んでいく考えを表明。2022年までに従業員数を2000人程度減らしていく方針を明らかにした。ただ人員整理についてはリストラを行うものではなく、定年退職などによる自然減と新規採用を抑制することで実現していくとした。既存人員については法人やWEB関連事業など、成長部門に人員を再配置していく方針を示した。

 

 相談料収受「動向踏まえ対象エリア拡大検討」
 個人事業、ダイナミック化遅れで売上マイナス
 法人事業、MICE関連事業好調で増収増益
 19年度は国内店舗再編で減収増益見込む
 経営改革軌道に乗せ「第3の創業」実現へ

 

※写真=2018年度の決算と今後の見通しについて説明するJTBの高橋広行社長