記事検索はこちらで→
2018.05.07

WING

ANAHD決算、3期連続過去最高の増収増益

売上高約2兆円、最終純利益46%増1438億円

 ANAホールディングスが発表した2017年度3月期決算は、連結売上高が前期比11.7%(2065億円)増の1兆9717億円、営業利益は13%(189億円)増の1645億円、経常利益は14.4%(202億円)増の1606億円、最終純利益は45.6%(450億円)増の1438億円と3期連続過去最高の増収増益を計上した。国際線や国内線で単価の高い旅客が増加、今決算からピーチ・アビエーションが従来の持分法適用会社から連結子会社となったことなどが寄与した。
 記者会見したグループ経理・財務室長兼財務企画・IR部長の福澤一郎執行役員は、「国内線旅客事業、国際線旅客事業、国際線貨物事業を中心として好調に推移した」とコメント。その上で、「国内線旅客事業は割引運賃を柔軟に設定したことによって、幅広い需要を摘み取むことで収入を最大化することに成功した。国際線旅客事業は好調な事業環境下で生産量を拡大し、旅客数を伸ばしたことに加えて、単価もビジネス需要が牽引して大幅な増収となった」ことに言及。さらに、EC事業などの成長が強力な追い風となるなど、国際線貨物事業においても「好調な貨物需要を着実に取り込んだ」とし、過去最高を更新する大幅な増収を達成した背景を説明した。

 

 国際旅客、ビジネス客好調で単価が8.2%上昇
 国内旅客収入、需要動向柔軟対応で1.7%増

 

 本業の航空事業の売上高は12.7%増加した1兆7311億円、営業利益は12.4%増えた1568億円となった。このうち国際線旅客事業は、好調な日本発のビジネス需要や、8月以降、好調に推移した中国路線の訪日需要などの旺盛な海外発需要を取り込んだことに加えて、同じく8月から羽田−ジャカルタ線、冬ダイヤから成田−ロサンゼルス線をそれぞれ1日2便に増便するなど、ネットワークの拡充を図った。この結果、国際線旅客数が前期比6.8%増加した974万人となり、収入は15.6%増えた5974億円となった。
 今回の好決算の要因の一つとなったのは、国際線旅客事業におけるビジネス客利用の好調ぶりを挙げることができる。イールドの高いビジネス客利用を上手く取り込むことに成功したことで、「単価については前期に比べて実に8.2%向上」(福澤執行役員)と、大きく伸ばすことに成功。この結果、国際線旅客収入を大きく伸ばすことに結びついたかたちだ。
 一方、国内線旅客事業については、各種割引運賃を柔軟に設定したことで、国内外の旅客需要を取り込んだことに加え、6月から中部-宮古線を新規開設、冬ダイヤから羽田-広島線で、最終時間帯に増便するなど、需要動向に応じた路線構成を展開。こうした施策により、旅客数は前年同期に比べて2.8%増加した4415万人となり、座席利用率も平均68.9%と好調に推移。国内線旅客収入は1.7%増えた6897億円にまで拡大した。

 

 ピーチ収入は546億円、バニラは329億円確保
 営業利益はピーチが59億円、バニラは8億円に

 

 傘下のLCC事業は、ピーチ・アビエーションを持分法適用会社から連結子会社とし、さらに今後はピーチ・アビエーションとバニラエアの統合が進めていくなど、ANAHD傘下のLCC事業を巡る動きが激しい。
 福澤執行役員は、「LCC事業については連結子会社となったピーチ・アビエーションの収入546億円を加えた。バニラエアについても、生産量を伸ばしたことに加え、主力の台湾線が好調なことで329億円の売上となった」ことを明かした。一方、利益面についても、「バニラエアの営業利益は8億円。ピーチ・アビエーションは59億円」を確保したとしている。

 

 旅行事業、海外好調も国内パンフ商品が低迷
 訪日で中国好調、台湾は競争激化で取扱高減少
 

 

 旅行事業の売上高は前年同期比0.8%減少した1592億円と前年割れとなり、営業利益は0.1%増と、わずかながら前年同期を上回る37億円を確保した。
 旅行事業の減収について福澤執行役員は、「海外事業において販売を強化しているハワイ方面の取り扱いが増加した一方、国内旅行においては、パンフレット商品などが伸び悩んだ」ことに言及。具体的には海外旅行のANAハローツアーにおいて重点的に販売しているハワイに加えて、北米方面の取り扱いも好調だったことから、売上を伸ばすことに成功。加えて、訪日旅行で中国での販売が好調に推移したという。ただ一方で、他社との競争が激化している台湾においては取扱高が減少したとのことで、訪日旅行としての売上高は前期を下回った。
 また、国内旅行については福澤執行役員が言及したように、ダイナミックパッケージ「旅作」において、プロモーションと商品力の強化による需要の早期取り込みを図ったものの、直前での集客が伸びきらなかったことに加えて、主力商品のANAスカイホリデーにおける関東および沖縄方面の集客が伸び悩んだことなどから、売上が前年同期を下回った。

 

 次期見通し、売上高3.4%増で2兆円超えに
 純利益29.2%減も将来成長向けた経営資源投資

 

 次期見通しについてANAホールディングスでは、売上高が3.4%増える2兆400億円と増収を見込む。利益面では、営業利益が0.3%増加する1650億円、経常利益は2.1%減の1580億円、当期純利益は29.2%減少する1020億円と予想している。

 

※写真=過去最高の増収増益を記録したANAホールディングス

 

※写真=記者会見する福澤執行役員